病棟や外来とは違う空気が流れている手術室。
「手術室看護師って、どんな仕事をしてるの?」「向いている人ってどんな人?」
そんな疑問を持ったことはありませんか?
実は、手術室看護師には他の部署では味わえない“やりがい”がたくさんあります。
もちろん、体力や集中力が必要な場面もありますが、それ以上に感じられる達成感もあるんです。
この記事では、手術室看護師の役割や一日の流れ、メリット・デメリット、向いている人の特徴や給与形態まで、まるっと紹介していきます!
「手術室のこと、もっと知りたい!」と思った方は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
手術室看護師の役割と仕事内容

器械出し看護師(直接介助看護師)
手術がスムーズに進行するように、手術器械の準備や受け渡しを行うのが器械出し看護師の役割です。
医師に言われたものをただ渡すだけではなく、「次に何が必要かな?」と手術の流れを読み取って器械を先回りで準備する力も求められます。
器械出し看護師のお仕事
- 術式に合わせた器械の展開(手術器械を清潔に並べて準備します)
- 手術中、進行に合わせた器械の受け渡し
- ガーゼや器械のカウントなど、体内遺残がないかをチェック

器械出し看護師のことを「手洗い」と呼ばれることもあります!
例えば、「今日の鼠経ヘルニアの手洗いだれ~?(今日の鼠経ヘルニアの器械出し看護師だれ~?)」みたいな感じで使います。
手術の進行に影響する、大事なポジションです。
清潔野を維持しながら、限られたスペースと時間の中で正確に、そしてスピーディーに動くことが求められます。
でもその分、「手術がうまく進んだ!」という実感を得られる、やりがいのあるお仕事です。
外回り看護師(間接介助看護師)
外回り看護師は、手術室全体の流れや状況を見ながらサポートを行う、いわば“司令塔”のような存在です。
手術の安全を守るだけでなく、麻酔で眠っている患者さんに代わって「痛い」「寒い」といったサインを汲み取り、医師やチームに伝えるという大切な役割も担っています。
お仕事の幅も広く、とにかく大忙し。
でも、その分やりがいもたっぷりです!
外回り看護師のお仕事
- 情報収集・術前訪問(患者さんの状態や手術内容の確認)
- デバイス類(電気メス・吸引器など)の準備と配置
- 麻酔介助(麻酔導入時のサポート)
- 手術器械の追加や物品の管理
- ガーゼ・針・器械のカウントなどの体内遺残防止
- 出血量のチェックと管理
- 看護記録の入力や整理
- 患者さんへの対応(術前後の声かけやサポート)
手術がスムーズに進むように、全体を見渡しながら必要なことを先回りして動く力が求められます。
一般的には、器械出しよりも外回りの方が「難しい」と言われることが多いですが、どちらも手術には欠かせない大切な役割です。
手術室看護師と病棟看護師の違いとは?
手術室看護師と病棟看護師では、仕事内容も求められるスキルも大きく異なります。
病棟では、患者さんの日常生活のサポートや服薬管理、点滴など、入院中のケアが中心です。
一方、手術室看護師は、手術中の患者さんの安全を守ることが主な役割。
器械出しや外回りといった役割に分かれ、清潔操作や手術器械、専門機器の扱いなど、より専門性の高いスキルが求められます。
また、病棟では患者さんとの長期的な関わりがあるのに対し、手術室では短時間で正確な対応と観察力が必要です。
「看護」と一言でいっても、現場によって求められる力はまったく違うんです。
手術室看護師の1日のスケジュール例





私が勤務していた手術室のスケジュールです。
器械出し1件の場合
今日の手術件数や担当割などをスタッフ皆で確認。



朝イチのオペ担当だと、早めにきて器械展開をやらないと間に合わない場合も…(前残業)
滅菌されている手術器械を器械台の上に出して、整理していきます。
1件目の手術はだいたいこの時間に入室します。
基本的に、外回りと器械出しの2名でひとつの手術を担当します。
器械出しを交代してもらって30分間のお昼休憩です。



オペの山場だったら、リーダーさんと相談して休憩のタイミングを変えたりします。
器械・針・ガーゼカウントをして、器械の洗浄を中材スタッフにお願いします。



器械の洗浄は中材さん、お部屋のお片付けは助手さんがやってくれるよ!
本当にありがたいです。
入れ替え部屋だったり、皆が忙しい時は皆で協力してやるよ!
残りの30分のお昼休憩を取ります。
(さっきのと合わせて1時間休憩です)
明日は外回り!
情報収集と術前訪問、室内準備をします。
遅番とバトンタッチ!
終わっていない手術や残った仕事は遅番さんにお願いし日勤スタッフは帰宅します。



私がいた手術室では、基本的には定時で帰れることが多かった!
たまーにオペ件数が多い時は残業になることもあるけど、、、
手術室看護師のいいところ


手術室と聞くと「なんだかハードそう…」と思う方もいるかもしれません。
でも実は、働いてみると「ここに来てよかった!」と思える魅力もたくさんあるんです。
解剖生理に強くなる
実際の手術を間近で見ながら関わることで、教科書だけでは分からなかった人体の構造が「体感的に」理解できるようになります。
筋肉・神経・血管の位置関係など、リアルな解剖知識が自然と身につくのも、手術室ならではの学びです。
判断力が磨かれる
手術中は、予定外の出来事が起こることもあります。
そんなときこそ、看護師の“判断力”が問われる瞬間。
医師の指示を素早く理解し、今何が必要かを考えて動く経験を重ねることで、臨機応変な判断力や対応力がどんどん磨かれていきます。
チームで連携して乗り越える達成感
手術はひとりではできません。
医師・看護師・技師など、みんなで声をかけ合って1つのゴールに向かいます。
その一体感や、無事に手術が終わったときのホッとした気持ちは、手術室ならではのやりがいです。
生活リズムが整いやすい
病院によっては夜勤がなく、定時で帰れることも多いのが手術室の特徴。
オンコール対応はあるものの、病棟のような夜勤や急変対応が少ない分、生活のリズムを整えやすいというメリットもあります。
手術室看護師の大変なところ


やりがいの多い手術室看護師ですが、「大変…!」と感じる瞬間も少なくありません。
ここでは、実際に働いてみて感じる“しんどさ”を3つご紹介します。
覚えることが多い
術式ごとの手順や使用する器械、機器の使い方、医師のクセ、麻酔の知識など…手術室看護師は覚えることがとにかく多い!
最初は「覚えきれるかな…」と不安になることもあるかもしれません。
でも、少しずつ経験を積んでいくうちに自然と身についていくので、焦らなくても大丈夫◎
精神的なプレッシャーが大きい
手術室では、患者さんの命を預かる責任があります。
「器械を間違えたらどうしよう」「対応が遅れたら…」という緊張感の中で、常に集中していなければなりません。
緊急手術や急変対応など、プレッシャーのかかる場面も多く、精神的にぐっとくる瞬間もあります。
長時間の手術がつらい
手術が何時間にもわたることも珍しくありません。
立ちっぱなしで動けない中、集中力を保ち続けるのは体力的にもハード。
休憩タイミングが取りづらい場合もあり、水分や食事が後回しになることもあります。
夜勤なしでも年収460万円!?手術室看護師のリアルなお給料事情


「夜勤がないから給料が低いのでは…?」そんな不安をもつ手術室看護師さんも多いのではないでしょうか。
実は、手術室には「オンコール手当」や「手術室手当(危険手当)」があり、これらが夜勤手当に代わる収入源になることも。
筆者の場合、夜勤なし・オンコール月6〜7回で年収は約460万円。
手当がしっかり支給されていれば、夜勤がなくても満足できる給与が得られるんです。
ただし、病院によっては手当がゼロというケースも…。
そんな時は「声をあげる」こと、もしくは「手当のある職場へ転職する」ことが収入アップのカギになります。
手術室看護師に向いている人の特徴は?


手術室って専門的なイメージが強くて、「私にできるかな…」と不安に思う方も多いですよね。
でも、実際には向いているタイプがいくつかあるんです!
コツコツ覚えるのが苦じゃない人
手術室では、術式ごと、医師ごとに器械や流れが違うため、覚えることがとにかく多いです。
「一気に覚えられなくても、少しずつ理解していこう」と前向きに学べる人は、着実に成長できますよ!
チームワークを大切にできる人
手術は、医師・看護師・技師などのチームプレイ。
「今なにが必要かな?」「どうサポートすればいいかな?」と、周囲と連携を取りながら動ける人に向いています。
協力しながら仕事を進めるのが好きな方にはぴったりです。
落ち着いて物事に対応できる人
手術中は、常に緊張感のある環境。
そんな中でも焦らず冷静に対応できる人は、手術室にとってとても頼もしい存在です。
急な変更やトラブルにも、慌てず対応できる判断力も大切!
新卒で手術室看護師になるには?


「手術室って、新人がいきなり入って大丈夫?」
そんな不安を持つ方も多いですが、実は新卒から手術室に配属されるケースは意外とあります!
就職先で手術室配属があるかを確認!
まずは、就職先に「新卒の手術室配属枠」があるかをチェックしましょう。
病院によっては、病棟で学んでからその後に希望を出せる場合や、最初から手術室希望でエントリーできるところもあります。
教育体制が整った病院を選ぶ
新卒で手術室に入るなら、教育体制がしっかりしていることがとても大切。
プリセプター制度や術式マニュアルなど、安心して学べる環境があるかどうかを見ておきましょう。
病院見学をすると、実際の雰囲気もつかみやすいです。
まとめ
手術室看護師の仕事は、専門的で責任も大きい分、やりがいもひとしおです。
器械出しや外回りといった役割分担の中で、チーム全体が連携しながら患者さんの命を支えています。
覚えることが多く、緊張感のある場面もありますが、解剖の知識が深まったり、判断力が鍛えられたりと、他では得られない成長もたくさん!
夜勤がなくても手当がしっかり出る職場なら、収入面でも満足できる働き方ができますよ。
「私に向いているかな?」と迷う方も、落ち着いてコツコツ取り組む姿勢があれば大丈夫。
新卒からでもスタートできる職場はありますし、教育体制が整った病院を選べば安心です。
手術室で働く毎日は大変だけど、その分だけ達成感も大きい。
そんな手術室看護師の世界を、少しでも身近に感じてもらえたらうれしいです!