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しゅがー
手術室看護師
准看護師3年(療養病棟)
正看護師6年(手術室)

【資格】
・正看護師
・YMAA認証マーク取得
・KTAA認証マーク取得

【Instagram】
🌸メディカ出版│月刊誌「オペナーシング」にエッセイ連載
🌸メディカ出版│学び方を学ぶ、選択肢を増やす「メディカLIBRARY」にエッセイ連載
🌸クラシコ株式会社│看護師の毎日を応援するライフスタイルメディア「NURSE LIFE MIX」NLMメイトとして記事連載中

【外回りとは?】役割や業務内容、必要なスキルをわかりやすく解説【手術室看護師のお仕事】

手術室で働く看護師には、「器械出し」と「外回り」という2つの役割があります。
中でも「外回り」は、患者さんの入室から退室までのあらゆる場面に関わる、まさに「手術チームの潤滑油」のような存在です。

でも実際、「外回りってどんな動きをしてるの?」「何が求められるの?」と疑問に思っている方も多いかもしれません。
そこで今回は、業務内容や1日の流れ、求められるスキル、そしてやりがいや大変なことまで、リアルにお伝えします。

これから手術室配属になる方や、外回りに苦手意識がある方にも、「そういうことだったんだ」と感じてもらえるきっかけになればうれしいです。

この記事を書いた人
しゅがー

自著
総合医学社「オペ看ノート」

メディカ出版「メディカLIBRARY」
エッセイ:オペナースしゅがーの脳腫瘍日記

クラシコ株式会社「NURSE LIFE MIX」
NLMメイトとして記事連載中
記事:オペ看ラボ
漫画:しゅがーは手術室にはいられない

\フォロワー5万人/
Instagramはこちら

もくじ

手術室看護師の「外回り」とは?

手術室で働く看護師には、大きく分けて「器械出し」と「外回り」という2つの役割があります。
そのうちの「外回り」は、手術台の外側で動きながら、手術の進行を支える役割です。
患者さんの安全を守るのはもちろん、医師や器械出し看護師のサポート、手術中の物品の受け渡し、記録の入力など、業務は多岐にわたります。

患者さんが手術室に入室した瞬間から退室するまで、常に周囲に目を配り、手術チーム全体の動きを見ながら先回りして動くのが「外回り看護師」のお仕事です。

個人的には、外回りの方がより高度な判断力や柔軟な対応力が求められると感じています。
最初は難しく感じるかもしれませんが、だからこそやりがいも大きいです!

外回り看護師の役割

外回り看護師は、患者さんの入室から退室までの流れを安全に進めるために、さまざまな場面で動き回るポジションです。
術前訪問、全身麻酔に使う薬剤や物品の準備、入室後のモニター類の装着、体位固定、術中のイレギュラー対応、記録の入力など、手術が滞りなく進むよう常に先を読んで動くことが求められます。

器械出し看護師が手術に集中できるようにサポートするのも大切な役割のひとつです。
さらに、術中の患者さんの全身状態に目を配るのも外回りの大事な仕事です。

患者さんは全身麻酔で眠っているから、「痛い」「苦しい」って声を上げることができません。
だからこそ、外回り看護師がその変化にいち早く気づいて、患者さんの気持ちを代弁する存在でありたいと思っています。

器械出しと外回り

器械出しが術野の中で動く“直接介助”なのに対して、外回りは術野の外でサポートする“間接介助”。

器械出しとは、手術中に医師の指示や術野の動きに合わせて、必要な器械を準備・手渡すだけではなく、清潔の維持、ガーゼや針の管理をしながら“術野の流れ”をつかさどるポジションです。
手術をスムーズに進めるには、この2つの役割がしっかり連携することがとても大切。
片方だけでは成立しません。
日によって担当が変わることも多く、どちらの役割も経験しながら、少しずつ全体像を掴んでいくことになります。

器械出しと外回り、どっちが偉いとか優劣はないけど、阿吽の呼吸で動けるペアだと本当に気持ちよく働けます。
お互いを信頼できる関係って、手術室ではすごく大事なんです!

外回り看護師の1日のスケジュール例

「外回りって、実際どんな風に1日を過ごしてるの?」と聞かれることがあります。

手術室のスケジュールは病院によって少しずつ違いますが、今回は私が実際に働いていた病院での、外回り看護師の1日の流れをご紹介します。
朝のミーティングに始まり、術前準備、手術中の対応、術後の片付け、そして翌日の器械や物品の準備まで。

「なんとなく難しそう…」と思っている方にも、リアルなタイムスケジュールを見て、少しでもイメージがつかめるきっかけになればうれしいです。

私が勤務していた手術室のスケジュールです。

外回り1件の場合

STEP
【08:30】出勤・朝のミーティング

今日の手術件数や担当割などをスタッフ皆で確認。

STEP
【08:45】器械出しに申し送り、部屋のチェック

基本的には前日に術前訪問を済ませています。
器械出しに必要な情報を申し送り!

血液検査上だと、炎症がありそう…。
なので、癒着があるかもしれません。
念のため、追加の器械を準備しておいてください。

STEP
【09:00~】患者さん入室

1件目の手術はだいたいこの時間に入室します。
病棟看護師から申し送りを受けます。
モニター類を装着します

STEP
【09:10~】麻酔導入、気管挿管介助、体位固定
STEP
【10:00~】手術開始

手術の進行を見ながら、タイミングを見て記録を書きます。

STEP
【12:00-12:30】1回目の昼休憩

外回りを交代してもらって30分間のお昼休憩です。

オペの山場だったり、忙しいときだったら、リーダーさんと相談して休憩のタイミングを変えたりします。

STEP
【~15:00】手術終了・片付け

器械出しと一緒に器械・針・ガーゼカウント確認。
部屋の片づけや記録、手術に使った医療材料などを確認(コスト入力)します。

器械の洗浄は中材さん、お部屋のお片付けは助手さんがやってくれるよ!
本当にありがたいです。
入れ替え部屋だったり、皆が忙しい時は皆で協力してやるよ!

STEP
【16:00-16:30】2回目の昼休憩

残りの30分のお昼休憩を取ります。
(さっきのと合わせて1時間休憩です)

STEP
【~17:30】翌日の準備

明日の担当の手術を確認し、情報収集と術前訪問、室内準備をします。

STEP
【退勤】

遅番とバトンタッチ!
終わっていない手術や残った仕事は遅番さんにお願いし日勤スタッフは帰宅します。

私がいた手術室では、基本的には定時で帰れることが多かった!
たまーにオペ件数が多い時は残業になることもあるけど、、、

外回りに求められるスキル

観察力と判断力

手術中、患者さんは全身麻酔で眠っているため、痛みや不快感を訴えることができません。
だからこそ、モニターの波形や体位固定のズレなど、小さなサインに気づける「観察力」が必要です。
そしてそれが一時的なものか、何か問題の前兆かを見極める「判断力」も重要。
その場での判断が、医師や麻酔科との連携につながるため、外回りには「広く深く見る力」が求められます。

コミュニケーション力

外回りは、医師・器械出し看護師・麻酔科医・CEさんなど、多職種とコミュニケーションをとる場面が多く、正確でタイミングのよい伝え方が求められます。
「今ちょっと伝えにくいな…」と思っても、状況を読んでしっかり伝える勇気も大事。
言葉だけでなく、手術の進行、表情や動き、空気の読み取りも含めて、「伝える力」が手術の流れを左右することもあります。

マルチタスク力

患者さんの体位固定、モニターの確認、術中記録、物品の手配…外回りには同時並行で行う業務がいくつもあります。1つずつこなしているだけでは追いつかないことも。
そのためには、「今はこれが優先」「この作業は後回しでも大丈夫」といった判断を自分でできるようになることがカギになります。慣れるまでは頭がパンクしそうですが、経験とともに自然と体が動くようになっていきます。

冷静さと柔軟性

手術は予定通りに進まないこともしばしば…。
トラブルが起きたときこそ、外回り看護師の力が試されます。
そんなときに必要なのが、落ち着いて状況を把握する冷静さと、その場に応じて対応を切り替える柔軟性です。
準備していた物品が違った、急な器械が追加になった…そんな時も焦らず対応する姿勢が、チームの安心感につながります。

最初から全部できる人なんていません。
私も、モニターを見てても何が何だか分からなかったし、記録だけで精一杯だった時期がありました。
まずは、できることをひとつずつ増やしていきましょう!

外回り看護のやりがいと大変なところ

外回り看護師は、見えにくい部分でチームや患者さんを支える「縁の下の力持ち」的な存在です。
派手さはありませんが、その分、細やかな配慮や判断が求められるポジション。
やりがいを感じる場面も多い一方で、「目立たないからこそ伝わりにくい苦労」もあるのが本音です。
ここでは、外回り看護のやりがい・つまずきやすいポイント・それを乗り越える工夫についてご紹介します。

外回りでやりがいを感じる瞬間

医師や麻酔科から「助かったよ」と声をかけられたとき、物品トラブルに即座に対応できて手術が滞りなく進行したとき…。
外回りは「直接の成果」が見えにくい分、ふとした瞬間にやりがいを感じます。
誰かが困っているときに自然に動けたとき、何も言われなくてもチームの動きがスムーズだったとき。
「ああ、少しは力になれてるのかな」と思える瞬間が、外回りならではの喜びです。

外回りで苦労しやすいポイント

よくあるのが「とにかくやることが多すぎて、常に何かに追われている感じがする」こと。
手術の進行を見ながら術中記録をし、モニター類をチェックし、体位の異常がないかも気にして…と、あれもこれも同時に求められるので、慣れないうちはパンクしそうになることも…。
また、「患者さんに関わる時間は長いのに、自分の仕事がどれだけ意味を持っているのか実感しにくい」というのも、外回り特有のジレンマかもしれません…。

乗り越えるための工夫

完璧を目指さないこと、それがまずひとつの工夫です。
すべてを完璧にやろうとすると息が詰まってしまうので、「今できることを丁寧にやる」を意識してみてください。
また、物品の配置やルーチンを自分なりに覚えやすく工夫したり、先輩の動きを見て「なぜそのタイミングで動いたのか?」を考えてみるのも◎。

私はやることが多すぎてなかなか覚えられなくて、、、
なので、カンペノートを作ってスクラブのポケットに入れていました!

おわりに

手術室の外回りは、一見地味に見えるかもしれませんが、患者さんの安全やチームの連携を支えるとても重要なポジションです。
毎日が試行錯誤の連続で、「これで合ってるのかな…」と悩むこともあるかもしれません。
でも、そのひとつひとつの積み重ねが、必ず力になっていきます。

私自身、うまくいかなくて落ち込んだ日もたくさんありました。
それでも、ふと「ありがとう」と言われたり、自分の判断で動けた瞬間があると、「外回りってやっぱり面白いな」と思えるんです!!

この記事が、今まさにがんばっているあなたの少しでも励みになれば嬉しいです。
これから外回りにチャレンジする方も、すでに毎日走り回っている方も、自分のペースで、少しずつ進んでいきましょう!

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