【全身麻酔の導入、維持】静脈麻酔薬!レミマゾラムってどんな薬?【手術室看護師のお勉強】

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この記事を書いた人
麻酔の看護師ぱん

手術室・病棟看護師を経て、大学院で麻酔について学ぶ。
現在はベテランの周麻酔期看護師として日々麻酔業務を担当。

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最近使うようになった薬、レミマゾラムについて教えて〜💦

日本では2020年から販売開始された薬だね!
一緒に特徴などを見ていこう!!

もくじ

基本情報

超簡単な紹介

一般名レマゾラムベシル酸塩
商品名アネレム®︎
分類超短時間作用型 ベンゾジアゼピン系 静脈麻酔薬
適応全身麻酔の導入、維持
★POINT

現在日本ではICUなどでの鎮静は適応になっていないんだ

作用機序

GABAA受容体のベンゾジアゼピン結合部位に作用することで麻酔・鎮静作用を発現

MEMO

GABAってよく聞くけど、何なの?

GABA(ガンマアミノ酪酸)は、中枢神経系における主要な抑制性神経伝達物質!
GABAの受容体を賦活(活性化)すると鎮静や抗痙攣作用を発揮するんだよ。
吸入麻酔薬、プロポフォール、バルビツレート、ベンゾジアゼピン系などほとんどの鎮静薬がGABAに作用してるよ

代謝

  • 主に肝臓の組織エステラーゼによって速やかに代謝される
  • 消失半減期は約50分

禁忌

  • 急性閉塞隅角緑内障
  • 重症筋無力症
  • ショック患者
  • 昏睡の患者
  • バイタルサインの抑制がみられる急性アルコール中毒の患者

副作用

  • 低血圧(26%)
  • 徐脈(4.7%)
  • 呼吸抑制
  • 覚醒遅延
  • ショック、アナフィラキシー
  • 依存性

特徴

レミマゾラムを一言で表すと、「とっても作用時間が短いミダゾラム!」

  1. 循環抑制作用が少ない
  2. 投与時の血管痛がない
  3. 拮抗薬フルマゼニルによって拮抗される(★3-3へ)
  4. 長時間持続投与しても、半減期が延長しにくい
  5. 多くの薬剤の代謝に関与するシトクロムP(CYP)が 関与しないため、他の薬剤との相互作用を起こす可能性が低い
  6. 代謝物が活性を持っていない

高齢者や循環動態が不安定な患者さんに使い易そうだね!

使い方

準備

アネレム®︎は1バイアル50mg。
これを生理食塩水50mlに希釈する。
つまり1mg/mlになるよ!
溶解には生理食塩水を使うこと!
酢酸リンゲルでは完全に溶解せず沈殿してしまう。

用法・用量

投与方法は、静脈内へ持続投与!

1. 導入
成人:12mg/kg/時で意識消失が得られるまで持続注入

意識消失までの時間ってどれくらいなの?

健康成人男性(20-45歳)に1分かけて単回静脈内投与した場合、1-3分で意識消失が確認されてるよ(投与量は0.2mg/kg以上)(文献1

2. 維持
成人:1mg/kg/時で持続注入

  • 患者の全身状態、BISを見ながら投与速度を適宜調整(上限は2mg/kg/時)
  • 覚醒徴候が認められた場合、最大0.2mg/kgを投与しても良い

<アネレム®︎の用法・用量に基づく流量換算表>文献1より

体重(kg)
30405060708090100
導入
(12mg/kg/時)
流量(mL/時)36048060072084096010801200
導入
(6mg/kg/時)
180240300360420480540600
維持
(1mg/kg/時)
流量(mL/時)30405060708090100
連続使用
時間*(時)
1.71.31.00.80.70.60.60.5
*アネレム®︎1バイアル50mgを生理食塩水50mlに希釈して、麻酔維持に使用した場合に連続使用できる時間
豆知識

体重50kgの患者では導入時600mL/hrで投与となるので、油断していると薬剤がすぐなくなっちゃう!
2本目がすぐ使えるように希釈用生食50mlを事前準備しておくと焦らないよ!

覚醒と拮抗

持続投与終了から開眼まで:約15分 個人差が大きい

そこで、拮抗薬であるフルマゼニル(アネキセート®︎)の使用で速やかな覚醒を得る事が可能。
ただし!
フルマゼニルとレミマゾラムの作用持続時間は同程度とされているが、再鎮静の恐れは常に考えておく必要がある。

MEMO

フルマゼニル使用方法

  • 0.2mgを静脈内投与
  • 必要に応じて0.1mgずつの追加投与が可能(最大1mg)

もう一歩詳しく!

BISとの関係

レミマゾラムでも鎮静度の確認は、BISを見ればいいですか?

血中濃度とBIS値はある程度相関していることがわかっているよ。(文献3

ただ、ベンゾジアゼピン系の薬はBIS値が高く出る事が知られているんだ。
脳波も通常、麻酔薬濃度を上昇させると最終的に平坦化する事が知られているけれど、ベンゾジアゼピン系は大量に投与してもこのパターンが見られない (文献2 
なので、BISだけを頼りにしてると過大評価してしまう可能性を知っておく必要があるね。

プロポフォールと比較してみると?

成人で鎮静および麻酔からの回復についてレミマゾラム-フルマゼニルとプロポフォールを比較した無作為化比較試験(RCT)を沢山集めて、系統的に評価してみた研究を紹介!(文献5

レミマゾラム-フルマゼニル併用は、プロポフォールと比較すると

  • 覚醒時間
  • 抜管時間
  • 麻酔回復室(PACU)在室時間

を減少させる

また、全身麻酔後の呼吸抑制の発生率を減少させたけど、
このレミマゾラム-フルマゼニル併用は再鎮静の高い発生率と関連してたみたい!
(エビデンスの質には限界があるので、解釈は慎重にとも書かれている)

ち・な・み・に…

薬のお値段の違いは?

規格薬価
アネレム静注用
50mg
2218円
フルマゼニル
0.5mg
1012円
プロポフォール静注
1%20mL
「マルイシ」200mg
594円

レミマゾラム良いところも沢山だけど、お値段がまだ高い(汗)

再鎮静のリスクもあって、覚醒までの時間は数分の差で、この価格…となるとちょっと使用する症例選んじゃいますね。

最後に

新しい薬なのでまだわからないことも沢山あって。
これから出てくる研究報告にも注目だね!

【参考文献】

  1. アネレム®︎静注用50mg 適正使用ハンドブック. ムンディファーマ株式会社
  2. 稲垣 喜三 (編). 明日からの臨床麻酔が広がる レミマゾラムQ&A. 2022. 克誠堂出版
  3. Xiao-yan Sheng, et al. Safety, pharmacokinetic and pharmacodynamic properties of single ascending dose and continuous infusion of remimazolam besylate in healthy Chinese volunteers Eur J Clin Pharmacol 76, 383–391 (2020). 
  4. Quantong Wu, et al. Comparison of Remimazolam-Flumazenil versus Propofol for Recovery from General Anesthesia: A Systematic Review and Meta-Analysis J Clin Med. 2023 Nov 26;12(23):7316. 
  5. Lee, Jaemoon, et al. Comparison of recovery profiles between total intravenous anaesthesia with propofol or remimazolam reversed with flumazenil in patients undergoing breast surgery: A randomised controlled trialEur J Anaesthesiol. 2024 Jan 12.
  6. Toyota, Yukari, et al. Remimazolam-based anesthesia with flumazenil allows faster emergence than propofol-based anesthesia in older patients undergoing spinal surgery: A randomized controlled trial Medicine (Baltimore). 2023 Nov 17;102(46):e36081.
  7. 土井松幸. レミマゾラム, 日臨麻会誌Vo134(7) p860~866, 2014
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