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しゅがー
手術室看護師
准看護師3年(療養病棟)
正看護師6年(手術室)

【資格】
・正看護師
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・KTAA認証マーク取得

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手術室で使う色素製剤まとめ|種類・目的・副作用を押さえて観察力をアップ!

手術室では、病変の位置を確認したり、臓器が正常に機能しているかを調べたりするために、「色素製剤」と呼ばれる薬剤が使われることがあります。

ですが、「何のために使っているのかよくわからない」という方も多いのではないでしょうか。
色素製剤は種類ごとに適応や使い方が異なり、取り扱いの注意点や副作用についても理解しておく必要があります。
この記事では、手術室でよく使われる色素製剤の種類と目的・観察のポイントを整理していきます。

この記事を書いた人
しゅがー

自著
総合医学社「オペ看ノート」

メディカ出版「メディカLIBRARY」
エッセイ:オペナースしゅがーの脳腫瘍日記

クラシコ株式会社「NURSE LIFE MIX」
記事:オペ看ラボ
漫画:しゅがーは手術室にはいられない


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もくじ

手術室で色素製剤を使う目的

手術で使う色素製剤には、大きく分けて2つの目的があります。

目的 内容
病変や臓器などの位置を見やすくする 手術では、切除すべき病変やリンパ節など、目視では見つけにくい病変やリンパ節を把握する必要がある。色素を使うことで、組織を「染める」「際立たせる」ことができ、術野の視認性が高まる。
損傷の有無などを確認する 尿管などに色素を使い、正常に機能しているか、狭窄や閉塞がないかを確認する。

色素製剤を用いた観察方法

色素製剤は、使い方によって3つの観察方法に分けられます。

観察方法 内容
コントラスト法 くぼみや溝に色素をためて凹凸を強調する方法。組織を「染める」のではなく、形を際立たせる。
染色法 色素が組織そのものにしみ込んで染まることで、粘膜の性質や病変を見やすくする方法。
反応法 色素が特定の環境や物質と反応して色が変わることで、正常と異常を見分ける方法。

手術室で使う色素製剤

手術室でよく使われる色素製剤を一つずつ紹介します。それぞれ目的・剤形・注意点が異なるので、使用場面と合わせて覚えておきましょう。

インジゴカルミン

適応
  • 尿管の狭窄や閉塞の確認
  • センチネルリンパ節の同定 など

尿管の狭窄や閉塞の確認では、投与後3~5分程度で尿管内に排泄が始まります。

10分以内であれば正常範囲とされるよ!

インドシアニングリーン(ICG)

適応
  • 蛍光イメージングを用いた脳血管造影・肝外胆管造影
  • センチネルリンパ節の同定 など

ICGは凍結乾燥注射剤のため、使用前に注射用水で溶解して用います。

ヨウ素が含まれているため、ヨードアレルギーのある患者は要注意!

ブリリアントブルー

適応
  • 眼科手術(硝子体手術や白内障手術など)における内境界膜の染色、組織の可視化など

染色性が高く、網膜毒性が低い術中補助染色剤として使用されている。

医療用ブリリアントブルーGは国内未承認です。

同じように、眼科手術における染色に用いていた「トリパンブルー」

眼科手術におけるトリパンブルーの使用について、当該染色試薬が真菌に汚染されていた可能性が高いとの報告があり、日本眼科学会、日本眼感染症学会、日本眼科医会より合同で注意喚起が行われました。

その後、令和7年12月26日に、厚生労働省より「トリパンブルー染色液が原因と推測される真菌による眼内炎発症事例について」という文書が出ています。

メチレンブルー

適応
  • 副甲状腺の同定(適応外使用)など

メチレンブルーは本来メトヘモグロビン血症の治療薬ですが、術中には副甲状腺の同定を目的として用いられることがあります。

希釈には5%ブドウ糖液を用いるよ!

「原則使用禁止」の色素製剤

以前は術野でのマーキングなどに、メチルロザニリン塩化物(クリスタルバイオレット・ビオクタニンブルーなど)を含む皮膚ペンが使われていました。

しかし、遺伝毒性や発癌性のリスクがあることが明らかになり、厚生労働省から原則使用禁止の通知が出ています。

厚生労働省:メチルロザニリン塩化物を含有する医療用医薬品、要指導・一般用医薬品、医薬部外品及び化粧品の取扱いについて

だから、今は「クリスタルバイオレットフリー」の皮膚ペン!術野でメモを取るときにも使っていたよ。

色素製剤投与後の副作用

色素製剤の静脈内投与後、見かけ上SpO₂が低下することがあります。

パルスオキシメータは血管を透過する赤色光・赤外光の吸収差で測定しています。
静脈内に投与される色素製剤は、赤色光の波長域を吸収するため、センサーが受け取る光量が変化します。
その結果、SpO₂が実際よりも低く表示されることがあります。

SpO₂の低下は一過性で、通常は1〜2分程度で回復します
ずっとSpO₂低値が続く場合は、色素製剤以外の原因を考えましょう。

測定エラー:末梢循環不全などの血流低下、電気メスによる電気的干渉など
気道トラブル:呼吸回路の外れ・気管チューブの閉塞・低換気・肺塞栓など

★パルスオキシメータだけではなく、カプノグラム波形も確認します。

「センチネルリンパ節の同定」とは

※乳房切除術のセンチネルリンパ節の同定のイメージ

色素製剤の使用場面として、「センチネルリンパ節の同定」という言葉がよく出てきます。

色素製剤を投与すると、リンパ管を通って最初に到達するリンパ節が染まります。
これが「センチネルリンパ節(見張りリンパ節)」です。
このセンチネルリンパ節を摘出して生体検査を行い、がんがリンパ節へ転移しているかを判定します。

摘出したリンパ節は術中迅速病理診断に出します!

おわりに

今回は、手術室で使われる色素製剤について、種類・目的・観察のポイントをまとめました。

インジゴカルミン・ICG・ブリリアントブルー・メチレンブルーと、それぞれ適応や使い方が異なります。
「なんとなく使っている」で終わらず、なぜ使うのか・投与後に何を見るのかまで理解できているといいですよね!

また、色素製剤の静脈内投与後にSpO₂が一過性に低下することは、知らなければ焦ってしまう場面のひとつです。
「色素製剤を使ったから」と落ち着いて対応できるよう、あらかじめ頭に入れておきましょう。

さらに、クリスタルバイオレットのような「かつては使われていたが、現在は使用禁止になったもの」があるように、医療の現場では情報のアップデートが欠かせません。

この記事が、日々の手術室業務の「なぜ?」を解消する一助になれば嬉しいです。

【参考文献】

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