「今働いている手術室の環境がつらい…。1年目だけど、他の病院に移りたい」
そんな思いを抱える方もいるのではないでしょうか?
一方で、こんな不安や疑問も頭をよぎりますよね。
「看護技術がまだ身についていないのに転職しても大丈夫?」
「辞めたいけれど奨学金の返済があって動けない…」
実際、看護師としての経験が浅い中で転職を考えるのは、勇気が必要なことです。
しかし、結論から言えば、1年未満で転職するのはアリです。
ただ、大切なのは、自分に合った職場を見つけることと、正しい準備をすること!
この記事では、「1年未満での転職はありなのか?」をテーマに、新卒や経験が浅い方が手術室看護師が転職を目指す際のポイントや、転職を成功させるためのコツについて解説していきます。
少しでも不安が解消され、次の一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。

自著
総合医学社「オペ看ノート」
メディカ出版「メディカLIBRARY」
エッセイ:オペナースしゅがーの脳腫瘍日記
クラシコ株式会社「NURSE LIFE MIX」
NLMメイトとして記事連載中
記事:オペ看ラボ
漫画:しゅがーは手術室にはいられない
\フォロワー5万人/
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今、しんどい方は看護師1年目でも転職すべき?

新卒看護師の離職率
2024年病院看護実態調査(日本看護協会、2025年3月発表)によると、2023年度の新卒看護職員の離職率は8.8%、正規雇用看護職員全体の離職率は11.3%です。
つまり、1年目で転職を考えることは決して珍しいことではありません。
「今、しんどい」と感じているなら、心の健康を守るためにも転職を検討するのは一つの選択肢です。
特に、「しんどい」という感覚は心身の危険信号。
そのまま我慢し続けて心が折れてしまえば、取り返しがつかなくなることもあります。

一度心が折れてしまうと、取り返しのつかないことも!!
「しんどい」のうちに、対処しましょう。
第二新卒は看護師転職市場で評価されやすい
1年目や新卒で転職を考える方の多くは、「転職が早すぎるのでは?」と不安になるかもしれません。
しかし、実際には「第二新卒」という立場が転職市場で評価されるケースも多いのです。
第二新卒とは、一般的に卒業後1~3年以内の若い求職者を指します。
看護師の場合も同様で、第二新卒は「まだ若く柔軟性がある」「これから長く成長が期待できる」といったポジティブな評価を受けることが少なくありません。
特に、手術室のような専門性の高い現場では、早期からキャリアを切り替えることで、その分だけ経験値を積みやすいというメリットがあります。
また、教育担当者にとっても、全くの初心者に1から手取り足取り教える負担が軽減されるため、スムーズに教育が進められるという点で歓迎されることも多いのです。
奨学金があっても転職はできる?
「しんどいけど奨学金があってやめられない」
「奨学金がなければ他の病院で働きたい」
そう思っている方はたくさんいると思います。
奨学金返済は辛く、長い道のりになることも多いです。
私自身、高校・准看護学校・高等看護学校と全て奨学金を利用して通っており、合計500万円の返済をしてきました。
奨学金返済の大変さはわかっているつもりです。
ただ、奨学金返済は何とかなります!
あなたの心と身体は1つだけです。
辛い、しんどいと思っているのに働き続けて壊れてしまったら取り返しがつきません。
本当にきついときは自分の身体を休めて、ゆっくり労わってあげて下さい。
信頼できる人に相談するのも良いと思います。



私自身は転職してお礼奉公ではなく、180万円を徐々に返していく選択をしましたが、全く後悔はありません。
お金ではなくやりたいことを選んだことで、大変なこともあったけど、手術室で働けて今とても楽しいです!
私のように奨学金があっても転職はできます!
今の仕事が本当に辛いのであれば、自分の身体が壊れる前に転職を検討してみて下さい。
経験1年未満で転職するメリット


自分に合った職場環境を見つけられる
「こんなはずじゃなかった…」と思いながら無理を続けるより、早めに動くことで、自分に合った職場に出会えるチャンスが広がります。
手術室はチームワークが命。
人間関係や教育体制が合わないまま働き続けると、心も体もすり減ってしまうことも。
たとえ1年未満でも、自分を大切にする選択は間違いではありません。
転職は「逃げ」ではなく、より良い未来への「一歩」と考えて大丈夫です!
精神的な負担の軽減
毎日のようにプレッシャーやストレスを感じながら働くと、心身に大きな負担がかかります。
無理を続けてしまうと、体調を崩したり、看護そのものが嫌いになってしまうことも…。
転職によって環境をリセットすることで、精神的な余裕を取り戻すことができます。
まずは「自分が安心して働ける場所」を探すことが、長く看護師を続けるための大切な一歩になります。
若さゆえの柔軟性が評価される
1年未満での転職でも、若手ならではの柔軟性がプラスに働くことがあります。
新しい環境にすぐ慣れ、先輩の指導を素直に受け入れられる姿勢は、多くの職場で歓迎されます。
また、経験年数が浅いうちなら、変なクセがついていないぶん、基本から丁寧に育てようと考える手術室も少なくありません。
若さは大きな武器。前向きにチャレンジする気持ちを持って、新たなスタートを切りましょう!
キャリアの方向性を早期に見直せる
働き始めてから「思っていたのと違う」と気づくことは、決して悪いことではありません。
早い段階で違和感に気づけたなら、今後のキャリアを立て直すチャンスです。
手術室看護師として続けたいのか、別の分野に挑戦したいのか、自分と向き合うタイミングになります。
方向転換は早いほど軌道修正しやすいもの。
立ち止まって考える勇気が、将来の可能性を広げてくれます。
経験1年未満で転職するデメリット


「転職癖がある」と見なされるリスク
短期間での退職が続くと、採用側から「またすぐ辞めるのでは?」と不安に思われることがあります。
特に医療現場では、長期的に育てたいという思いが強いため、職歴の短さがマイナスに働くことも。
面接では、転職の理由をポジティブに説明できるよう準備しておきましょう。
「環境を選び直したい」という前向きな意図を伝えることが、印象を大きく左右します。
基本的な看護技術の習得が不十分なまま次の職場に移るリスク
1年未満の転職では、まだ基本的な看護技術や知識が十分に身についていない場合もあります。
手術室特有の器械出しや外回り業務は、習得に時間がかかるもの。
未完成のまま転職すると、次の職場でも同じように苦労してしまう可能性があります。
- 最低限のスキルをリストアップする
例えば手術室なら、「デバイスの接続方法」「手術器械の理解」「外回りでの挿管介助」など、今の職場で身につけておきたいスキルを自分なりに整理しましょう。 - 苦手なところだけでも集中して練習する
完璧を目指す必要はありませんが、次の職場で必ず必要になる基礎スキル(清潔操作、ガウンテクニックなど)は、できる範囲で磨いておくと安心です。 - 「勉強中ですが意欲があります」と伝える準備をする
面接で「基本的なところは習得中ですが、積極的に学び続けています」と伝えられると、前向きな印象を持たれやすいです。完璧よりも「学び続ける姿勢」が評価されることも多いですよ!
教育体制に再度順応する必要がある
転職すると、どんなに経験があっても、また新人に近い立場からスタートすることになります。
病院ごとに器械の名前や準備のルール、教育体制の進め方も違うため、覚え直しが必要です。
「また一からか…」と感じて、精神的に負担を感じることも。
転職先では、プライドを捨てて素直に教わる姿勢が大切。
焦らず、一歩ずつ順応していきましょう!
メリットを活かし、デメリットを乗り越えるには?
転職を成功させるコツは、「早く動くこと」と「しっかり準備すること」のバランスをとること。
自分に合った環境を見つけるためには、希望条件を明確にし、妥協できないポイントを整理しておきましょう。
一方で、短期間の退職理由を前向きに説明できるようにしておくことも大切です。
- 事前準備を徹底する
自分に合った職場を選ぶために情報収集をしっかり行い、転職エージェントを利用するなどプロの力を借りましょう。 - 転職理由をポジティブに伝える
採用面接では、転職理由を「より成長したい」「自分に合った職場を見つけたい」といった前向きな形で伝えると好印象を与えられます。 - スキルアップの姿勢を持つ
転職先での教育や研修を積極的に活用し、看護技術や知識を補完する姿勢を持ち続けることが大切です。
「1年未満での転職」はリスクとチャンスが表裏一体の選択肢です。
焦らず、自分を大切にする転職を目指しましょう。
「今より少しでもいい環境へ」そんな気持ちで、一歩ずつ進めば大丈夫です。
経験1年未満で転職する方法


まずは、自分が「なぜ転職したいのか」を整理することが大切です。
つらい理由を明確にしたうえで、「次はどんな職場を目指したいか」をはっきりさせましょう。
その上で、転職サイトやエージェントを活用して、手術室看護師の求人に強い担当者に相談するとスムーズです。
応募書類や面接では、短期離職の理由を前向きに伝える準備も忘れずに。
焦らず、でも勇気を持って、自分に合った環境探しをスタートしましょう!
自分の希望と転職先の条件を明確にする
転職を成功させるためには、「何がつらかったのか」「次は何を大事にしたいのか」をはっきりさせることが重要です。
たとえば、「人間関係がいい職場がいい」「教育体制が整っているところがいい」など、具体的に条件をリストアップしてみましょう。
条件を明確にすることで、求人を探すときもブレずに判断でき、ミスマッチを防ぐことができます。
自分の希望を整理することが、納得できる転職への第一歩です。
転職エージェントの利用
手術室勤務の看護師だからこそ、転職エージェントを活用するメリットもあります。
特に「求人が少ない」「条件が複雑」といった悩みがある場合は、エージェントの情報力や交渉力が強い味方になります。
上手に使えば、希望に近い職場と出会うチャンスも広がります。
経験1年未満でも受け入れてくれる求人を探してくれる
手術室看護師の転職に強いエージェントなら、あなたの希望に合った職場を探すサポートをしてくれます。
特に、「1年未満でも受け入れてくれる」求人をピックアップして紹介してもらえるのは大きなメリット。
また、履歴書・職務経歴書の添削や、短期離職の伝え方についてアドバイスしてもらえることも。
ひとりで悩まず、プロの力を借りながら、前向きに転職活動を進めていきましょう。
手術室用の求人を扱っているところも
手術室の求人は、病棟に比べて圧倒的に少ないです。
病院のホームページにも詳細が載っていないことが多く、「募集しているかどうかも分からない…」というケースも。
そんなときに頼りになるのがエージェント!
エージェントによっては、手術室用の求人を扱っているところがあります。
条件が詳しく書かれていたり、現場に詳しい担当者がつくことも!
そのため、自分では見つけられない情報をキャッチできる可能性があります。
手術室手当やオンコール手当の確認ができる
特に手術室では、手術室手当やオンコール手当の有無が給与に大きく影響します。
エージェントなら、直接病院に確認してくれたり、他院との比較もできたりするので、「実際いくらもらえるの?」という疑問をスッキリ解消してくれます。
【例文あり】転職理由をしっかり整理する


1年未満での転職は、面接で必ず理由を聞かれます。ここをあいまいにすると、不安を持たれてしまうことも。
だからこそ、「なぜ辞めるのか」「次に何を求めているのか」を、自分の中でしっかり整理しておきましょう。
ポイントは、ネガティブな理由だけで終わらせず、「より良い環境で成長したい」「長く働ける職場を探したい」といった前向きな気持ちを伝えること。
正直に、でも前向きに。あなたらしい言葉でまとめることが大切です。
キャリアアップ
「新たな分野に挑戦したい」など、キャリアアップを理由にするのも前向きな選択です。
「今後の目標に向けたステップ」として伝えるのがポイントです。
感謝の気持ちも添えると好印象に!
職場の人間関係のトラブル
人間関係に悩み、退職を決意するケースも少なくありません。
ただ、トラブルをそのまま理由にすると角が立ってしまうことも。
「新しい環境で自分をリセットしたい」「視野を広げたい」というニュアンスに変えて伝えると、円満退職につながりやすくなります。
「部署異動するから!」と引き止めらないように、「学びたい専門分野が決まっている」「そのために環境を変える必要がある」と明確に伝えるのがポイントです。
給与や待遇面での不満
手術室は高いスキルが求められるわりに、給与や待遇が見合っていないと感じることもありますよね…。
しかし、直接的に不満をぶつけるのは避けたいところ。
「より自分の希望に合う働き方を求めたい」と前向きな表現にすると、角を立てずに伝えられます。
手術室看護師は、オンコールや緊急手術対応など、負担の大きい勤務が続くため、待遇面に不満を感じることも少なくありません。
しかし、「給料が低いから」「労働条件が悪いから」とストレートに伝えると、職場との関係にヒビが入るリスクがあります。
伝える際は、「より自分に合った働き方を求めたい」や「長くキャリアを続けるために環境を整えたい」など、前向きな言葉に言い換えるのがコツです。
待遇そのものを否定するのではなく、自分自身のキャリアビジョンやライフスタイルの変化にフォーカスして伝えると、円満な印象を保てます。
過剰労働によるストレス
手術室の勤務は、緊急手術や長時間手術が続くこともあり、心身に負担がかかりやすい環境です。
「健康を考えて、働き方を見直したい」と伝えると、個人の事情として理解してもらいやすくなります。
無理に我慢せず、体調を大事にする決断も立派な理由のひとつです。
ただし、「ストレスでもう限界です!」とストレートに伝えるのは避けたいところ。
「働き方を見直したい」「健康を第一に考えたい」という前向きなニュアンスにするのがポイントです。
ストレスを理由に退職する場合も、「ネガティブな印象を与えない伝え方」が大切です。
「体調管理を重視したい」「無理なくキャリアを続けたい」という言葉を選ぶと、前向きな姿勢として受け取られやすくなります。
経験1年未満でも転職を成功するポイント


短期離職への不安を払拭するため、前向きな転職理由をきちんと伝えられる準備をしましょう。
また、応募先の教育体制やサポート環境も事前にしっかり確認を。
焦らず、でも自信を持って、自分の未来に向けた一歩を踏み出しましょう!
面接対策を行う
経験1年未満での転職では、面接での印象がとても重要です。
短期離職について聞かれたときに焦らないよう、あらかじめ理由と今後の目標を整理しておきましょう。
ポイントは、「なぜ辞めたのか」よりも、「これからどう成長したいか」を中心に話すこと。
また、志望先の特徴や方針を事前に調べ、自分がどう貢献できるかをイメージしておくと、より前向きなアピールができます。
緊張しても大丈夫。伝えたい気持ちをしっかり言葉にする練習を重ねましょう!
転職後のサポートを確認する
経験が浅い場合、転職後のフォロー体制が整っているかどうかはとても重要なポイントです。
「プリセプター制度があるか」「定期的なフォロー面談があるか」など、サポート体制を事前に確認しておきましょう。
入職後に手厚い支援があれば、新しい職場でも安心してスキルを磨くことができます。
見学や面接の際に、教育担当者やサポート内容について具体的に質問しておくと、ミスマッチを防ぐことができますよ。
忍耐力を持って転職活動を進める
経験1年未満の転職は、希望通りの職場にすぐ出会えるとは限りません。
ときには不採用が続いたり、条件に合う求人が見つかるまで時間がかかったりすることもあります。
そんなときこそ、焦らず、あきらめずに粘り強く動くことが大切です。
「本当に自分に合った職場に出会うための準備期間」と考え、前向きに乗り越えましょう。
努力は必ず実を結びます。小さな一歩でも、確実に未来につながっています。



自分に合った職場を見つけるために、上記のポイントを押さえつつ、慎重に準備を進めてくださいね。
自分の気持ちと身体を最優先に
ここまで、1年未満で転職するメリットやデメリットについてお伝えしてきました。
私自身も、看護師1年目の頃、厳しい先輩方に毎日叱られてばかりでした。
そのうち、「患者さんのための看護」ではなく、「怒られないための看護」をしている自分に気づきました。
それが嫌で自己嫌悪に陥り、心身ともに疲れ果て、「もう消えてしまいたい」と思うほど追い詰められていました。
しかし、転職を決意し、新しい職場で働き始めてからは、信頼できる同僚や先輩に囲まれ、ストレスが少なく余裕のある環境で働けるようになりました。
余裕ができると、自然と看護のお仕事が楽しくなり、「やっぱり私は患者さんのための看護をしたい!」と心から思えるようになりました。
もちろん、「石の上にも3年」という言葉を持ち出し、「最低でも3年は働いた方がいい」とアドバイスする先輩看護師もいるかもしれません。
それも一理ありますが、職場環境が自分に合わない場合、無理に続ける必要はありません。
新卒や1年目であっても、あなたに合った職場で働くことが何より大切です。
自分の気持ちと身体は、何よりも優先されるべきです。
「この職場で良かった!ここなら頑張れる!」と心から思える職場で働けることを願っています。
そして、その選択があなたの笑顔と充実した看護師人生につながりますように。
おわりに
看護師1年目、しかも手術室という特殊な環境の中で、「辞めたい」と感じるのは、決して弱いことではありません。
それだけ一生懸命向き合ってきた証拠です。
無理をして心や体を壊してしまう前に、自分を守る選択をすることも、未来を見据えた勇気ある決断です。
そして、経験が浅くても、あなたの未来にはたくさんの可能性が広がっています。
どんな道を選んだとしても、あなたが「自分らしく、前向きに歩める場所」を見つけられることを、心から応援しています。
どうか、自分の気持ちを大切にして、あなたらしい看護師人生を築いていってくださいね。