気管挿管はよく聞くけど…
声門上器具ってよく分からない…
全身麻酔の手術…、気管挿管と、声門上器具…？
なんとなく、気管挿管は分かるけど…
声門上器具ってなんぞや！？
今回は、声門上器具について、そしてラリンジアルマスク(ラリマ)挿入介助について、お勉強をしてきました！
声門上器具って何？
声門上器具は、口腔･咽頭･あるいは食道上部に挿入して換気を可能にする器具です。
声門上器具はこんな時に使う
| 術中の体位変換がない手術 | 身体が大きく動くと声門上器具がズレやすい 特殊体位の手術には向かない |
| 短時間の手術 | 長時間の麻酔は誤嚥の危険性がある |
| 陽圧換気を必要としない手術 | 基本的に、上腹部手術･気腹を用いる手術･高度肥満･妊婦の手術には向かない |
喉頭展開はいらないし、基本的に筋弛緩薬の投与も不要！
声門上器具のメリットとデメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 上気道閉塞の3原因をバイパスするこ とにより、換気ができるようになる 気管の中まで入れないから、優しい 気道刺激性が低い 気道反射を誘発しにくい 術後の咽頭痛や嗄声などが少ない 正常気道内圧なら、送気ガスの漏れを防げる | 逆流してきた胃内容物の誤嚥を防げない 緊急手術で絶飲食していない患者さん(フルストマック)には使えない 声門閉鎖があると換気ができなくなる 喉頭痙攣や、外部からの圧迫など 送気ガスが漏れることがある 陽圧換気の際、気道内圧が高い場合 |
上気道閉塞の3原因
- 舌根沈下
- 軟口蓋による鼻腔閉塞
- 喉頭蓋による喉頭閉塞
声門上器具の種類･特徴
【ラリンジアルマスク】
LMA ProSeal®
- 空気を注入するカフがある。
- チューブと楕円形のマスクで構成され、喉頭を包み込むように密着させて気道を確保する。
- サイズは小児～成人まである
- 再滅菌可能(40回まで)
i-gel®
- ジェル状のカフで、空気注入不要！
- 喉頭周囲に密着して有効な換気ができる。
- チューブinチューブ挿管ができる
- サイズは新生児から成人まである
- ディスポ(再滅菌不可）
声門上器具の構造・サイズ
よく使うサイズ
| サイズ | 適用患者の 体重(目安) | 最大注入 空気量 |
| 4 | 50～70Kg | 30ｍL |
| 5 | 70～100Kg | 40ｍL |
よく使うサイズ
| サイズ | カラー コード | 適用患者の 体重(目安) |
| 3 | 黄色 | 30 ～ 60kg |
| 4 | 緑 | 50～90Kg |
声門上器具の挿入介助は？
声門上器具の挿入介助
基本的に、喉頭鏡を使用せずに挿入できます。
また、筋弛緩薬も不要な場合が多いです。
LMA ProSeal®の挿入介助
- LMA ProSeal®
- 潤滑剤
- カフ用のシリンジ(20～50ml)
- 固定用のテープ
膿盆とかトレー、ガーゼがあると便利！
カフの確認
最大空気注入量の1.5倍の空気量をカフに注入し、破損がないか確認する。
確認後、レッドプラグを閉めた上で、カフ内の空気を抜く。
カフ部を下にして完全に空気を抜く！
潤滑剤を塗布
カフ背面先端部に潤滑剤を塗布する。
私はガーゼに潤滑剤を出して塗るけど、パッケージの紙に潤滑剤を出す方もいたよ～！
(医師)自発呼吸が消失したら、気道確保しバックバルブマスクによる陽圧換気をおこなう。
胸部を露出して胸郭運動を確認するよ👀
(医師)スニッフィング位をとる。
オペ看はチューブの上側を把持して渡す。
(医師)開口しLMA ProSeal®を挿入する。
声を出しながら空気を注入。
例）カフ30ml入れます！
胸郭運動を確認するよ！
(医師)呼吸音の聴診をする。
チューブを下顎の方向に倒して固定する。
i-gel®の挿入介助
- i-gel®
- 潤滑剤
- 固定用のテープ
膿盆とかトレー、ガーゼがあると便利！
i-gel®本体とケースを外し、ケースのくぼみに潤滑剤を出す。
i-gel®本体背面、側面、前面に潤滑剤を塗る。
i-gel®本体をケースに戻す。
(医師)自発呼吸が消失したら、気道確保しバックバルブマスクによる陽圧換気をおこなう。
胸部を露出して胸郭運動を確認するよ👀
(医師)スニッフィング位をとる。
オペ看はチューブの上側を把持して渡す。
(医師)開口しi-gel®を挿入する。
胸郭運動を確認するよ！
(医師)呼吸音の聴診をする。
上顎から下顎に向かって固定する。
実際は、麻酔科の先生によって挿入方法はさまざまです。
- i-gel®挿入時、舌が邪魔だから舌圧子を使用する先生
- 喉頭鏡を使用する先生
- カフを膨らませずにそのままフィットさせる先生、などなど…
先生のお作法を確認してから介助につきます！
【参考文献】
- 日本麻酔科学会・周術期管理チーム委員会，周術期管理チームテキスト第4版，日本麻酔科学会，2020，p254ｰ258
- 讃岐美智義，麻酔科研修チェックノート 改訂第6版 書き込み式で研修到達目標が確実に身につく！，羊土社，2018，p298ｰ302
- 土肥修司，イラストでわかる 麻酔科必須テクニック 正しいロジックとスマートなアプローチ 合併症の予防・対策，羊土社，2006，p44ｰ45
- オペナーシング編集室，OPE NURSING 2023 vol.38 no.2，メディカ出版，2023，p42ｰ43
- 浅井隆，機関誌「呼吸療法」人工呼吸 37巻 1号，日本呼吸療法医学会，2020，p60ｰ65
- 上嶋浩順，日本臨床麻酔学会 第38回大会教育講演 日臨麻会誌 Vol.39 No.3 声門上器具は進化している，日本臨床麻酔学会，2019，p282ｰ286
- インターサージカル i-gel 添付文書
- LMAプロシール 添付文書
療養病棟3年(准看)→手術室6年(正看)
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「メディカLIBRARY」エッセイ連載
オペナースしゅがーの脳腫瘍日記
「NURSE LIFE MIX」NLMメイトとして記事連載中
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漫画：しゅがーは手術室にはいられない
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