なぜ腹腔鏡下手術の気腹には二酸化炭素ガスが使われるの？なにを観察する？

開腹手術とはまた違う、腹腔鏡下手術…。
今回は、腹腔鏡下手術についてお勉強をしてきました！

スライドして見てね👍

腹腔鏡手術ってなに？

腹腔鏡下手術とは

腹腔鏡手術では、腹部に数か所穴を開け、二酸化炭素ガスを流して腹腔内にスペースをつくり、そこに専用の内視鏡を挿入し、モニタ画面を見ながら特殊な専用器械を用いて行う手術です。

腹腔鏡手術のメリット･デメリットは？

腹腔鏡下手術だったのに！開腹移行になる場合は？

腹腔鏡下手術で行う「気腹」

気腹は何のため？

腹腔鏡手術では、手術の視野を確保するために腹腔内に二酸化炭素ガスを注入します。

なぜ気腹には二酸化炭素が使われるの？

気腹により腹腔内に注入されるガスは、間接的にも血管内に入り込む可能性があるため、血中に入っても許容量の大きいガスである必要があります。
又、術中に電気メスを使用する為、不燃性のガスである必要もあります。
二酸化炭素ガスは、血管内に入り込んでも血中に吸収されやすく、不燃性で、気腹ガスとして使用するのに適切であるといえます。

通常の気腹圧では、腹腔内に注入された二酸化炭素が最大に血中へ移行するのは15～30分後で、血中の二酸化炭素吸収量は20～40ｍL/分程度です。

気腹による影響・呼吸や循環の影響・合併症

気腹の影響

気腹の影響	症状
胸腔内圧上昇	換気障害・高二酸化炭素血症・低酸素血症
気腹ガスによる体温低下	シバリング
横隔膜や腹壁の挙上	術後肩痛・季肋部痛
静脈還流量低下	心拍出量低下・血圧低下
腎血流量低下	乏尿・無尿
肝血流量低下	胆汁生産・分泌低下
頭蓋内圧上昇	術後頭痛

呼吸や循環の影響

呼吸の影響	気道内圧上昇
	気腹圧による物理的な換気抑制
	高CO2血症
	機能的残気量の減少
	無気肺
	低酸素血症
循環の影響	血圧上昇
	心拍数・心拍出量の増加
	中心静脈圧の上昇
	尿量低下

代表的な合併症

塞栓症	気腹中は、下大静脈に圧がかかるので静脈還流量が低下する。 そのため、肺塞栓のリスクが高くなる。 また、血管内に入った気腹ガスにより、ガス血栓のリスクも。
皮下気腫	トロッカーから気腹ガスが皮下組織に漏出し、皮下気腫となる。 気腹圧が高かったり、気腹時間が長いとリスクが高まる。

【気腹の影響をふまえて】オペ看の術中の観察ポイント

気腹には、身体への影響があります。

【参考文献】
市立貝塚病院 院長 今本 治彦 編，看護師の動きがわかる術前+術中動画付これだけ！あんしん86ポイント内視鏡外科手術バイブル，メディカ出版，2021，p39-45
さいたま市立病院手術室，ナースのための図解手術の話，学研メディカル秀潤社，2007，p92ｰ93