【腹腔鏡下手術】気腹には二酸化炭素ガス？術中の観察項目は？

開腹手術とはまた違う、腹腔鏡下手術…。
今回は、腹腔鏡下手術についてお勉強をしてきました！

腹腔鏡手術ってなに？

腹腔鏡下手術とは

腹腔鏡下手術では、腹部に数か所穴を開け、二酸化炭素ガスを流して腹腔内にスペースをつくり、そこに専用の内視鏡を挿入し、モニタ画面を見ながら特殊な専用器械を用いて行う手術です。

腹腔鏡下手術のメリット･デメリットは？

メリット	デメリット
手術創が小さいため、術後の疼痛が少なく、回復も早い 出血量が少ない 術後の癒着が少ない 創部感染のリスクが低い 手術チームの全員が同じ視野を共有できる	特有の合併症を引き起こすことがある 術野が見えにくいことがある 手術時間が長くなることが多い 触覚が働かない 専用器具が必要で、手術の材料費も高いことが多い

腹腔鏡下手術だったのに！開腹移行になる場合は？

腹腔鏡下手術で行う「気腹」

気腹は何のため？

腹腔鏡下手術では、手術の視野を確保するために腹腔内に二酸化炭素ガスを注入します。

気腹には二酸化炭素？

気腹により腹腔内に注入されるガスは、間接的にも血管内に入り込む可能性があるため、血中に入っても許容量の大きいガスである必要があります。
また、術中に電気メスを使用するため、不燃性のガスである必要もあります。
二酸化炭素ガスは、血管内に入り込んでも血中に吸収されやすく、不燃性で、気腹ガスとして使用するのに適切であるといえます。

気腹による影響・呼吸や循環の影響・合併症

気腹の影響(呼吸・循環・その他)

気腹の影響	原因	症状
呼吸	胸腔内圧上昇・気道内圧による換気障害	高二酸化炭素血症・低酸素血症
	炭酸ガスによる交感神経亢進	心拍数・血圧上昇
循環	腹腔内圧上昇による静脈還流量低下	心拍数・血圧低下
		腎血流量低下による尿量低下
その他	冷却ガスや腹膜の乾燥による体温低下	シバリング
	横隔膜や腹壁の挙上	術後肩痛・季肋部痛
	頭蓋内圧上昇	術後頭痛

気腹の影響では、腹腔内圧の上昇による静脈還流量の低下が心拍数および血圧の低下を引き起こします。
しかし、通常の気腹圧(8～12mmHg)では炭酸ガスによる交感神経の亢進が上回るため、心拍数や血圧は少し上昇します。

代表的な合併症

塞栓症	気腹中は、下大静脈に圧がかかるので静脈還流量が低下する。 そのため、肺塞栓のリスクが高くなる。 また、血管内に入った気腹ガスにより、ガス血栓のリスクも。
皮下気腫	トロッカーから気腹ガスが皮下組織に漏出し、皮下気腫となる。 気腹圧が高かったり、気腹時間が長いとリスクが高まる。
片肺挿管	横隔膜挙上により気管チューブの位置が深くなる。

【気腹の影響をふまえて】術中の観察項目

気腹には、身体への影響があります。