腎機能が悪い…!
……と、どうなるの?
今回は、腎機能障害や麻酔や手術の影響についてお勉強してきました!
スライドして見てね👍
腎機能障害とは?
腎臓の主な働きは、尿生成により体内の水分量などを調整し、老廃物を排泄することです。
腎機能障害では、体内に処理しきれない老廃物がたまってしまい、生体の恒常性を維持できなくなってしまいます…。
【主な病態】
- 貧血
- 高血圧
- 尿量低下
- 電解質の異常
- 浮腫など
急性腎障害(AKI)と慢性腎臓病(CKD)
急性腎障害(AKI)
急激な腎機能低下により、体液の恒常性が維持できず、尿毒症や高窒素血症などをきたす病態です。
麻酔や、手術侵襲によって、腎血流低下や尿量減少が生じ、腎機能増悪のリスクが高まります。
急性腎障害を発症すると、長期の生命予後不良といわれています。
なので、急性腎障害を防ぎたいんです!
慢性腎臓病(CKD)
診断基準は、糸球体濾過量(GFR)に関わらず、尿検査などの腎機能障害を示唆する所見が3ヶ月以上続く場合、またはGFR値<60mL/分/1.73m²が3ヶ月以上続く場合です。
原疾患 | 蛋白尿区分 | A1 | A2 | A3 | ||
糖尿病 | 尿アルブミン定量 (mg/日) 尿アルブミン/Cr比 (mg/gCr) | 正常 | 微量アルブミン尿 | 顕性アルブミン尿 | ||
30未満 | 30~299 | 300以上 | ||||
腎炎 多発性囊胞腎 移植腎 不明 その他 | 高血圧尿蛋白定量 (g/日) 尿蛋白/Cr比 (g/gCr) | 正常 | 軽度蛋白尿 | 高度蛋白尿 | ||
0.15未満 | 0.15~0.49 | 0.50以上 | ||||
(mL/分 /1.73 m2 ) | GFR区分 G1 | 正常または高値 | ≧90 | |||
G2 | 正常または軽度低下 | 60~89 | ||||
G3a | 軽度~中等度低下 | 45~59 | ||||
G3b | 中等度~高度低下 | 30~44 | ||||
G4 | 高度低下 | 15~29 | ||||
G5 | 末期腎不全(ESKD) | <15 |
重症度は原疾患・GFR区分・蛋白尿区分を合わせたステージにより評価する。CKDの重症度は死亡、末期腎不全、心血管死発症のリスクを緑のステージを基準に、黄 、オレンジ 、赤の順にステージが上昇するほどリスクは上昇する。
エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018
(KDIGO CKD guideline 2012を日本人用に改変)
麻酔管理・術中
低血圧を防ぐ!
そもそも、なんで低血圧…?
- 心拍出量減少
- 循環血液量減少
- 麻酔薬による血管拡張
- 陽圧呼吸による静脈還流
- 手術侵襲(出血など)
これらにより、麻酔・手術中には低血圧になりがちなんです。
低血圧が続くと、腎血流低下、尿量減少が生じ、腎機能増悪のリスクが高まります。
術中の平均血圧低下と急性腎障害には関連があると言われており、平均血圧の目標は60~70mmHg以上が推奨されています。
※平均血圧=(収縮期血圧−拡張期血圧)÷3+拡張期血圧
薬剤の効果遷延
腎排泄の薬剤は、効果が遷延しやすい!
安全に使える | プロポフォール セボフルラン デスフルラン レミフェンタニルなど | 腎機能に大きな影響を受けないため |
比較的安全 | フェンタニル | 肝臓で非活性代謝物に変換するため |
遷延しやすい | ミダゾラム ロクロニウム | ロクロニウムは主に胆汁排泄だが、腎排泄もあるため注意 |
抜管後の呼吸抑制に注意しなきゃいけないですね!
術中・術後の疼痛管理
NSAIDsは腎毒性があります。
腎機能低下の患者は、使用を避けることが多いです。
※NSAIDs(non-steroidal anti-inflammatory drugs)とは、非ステロイド系抗炎症薬の略称。
【NSAIDs以外の鎮痛管理】
- アセトアミノフェン
- 神経ブロック
- 硬膜外麻酔など
上記を併用して鎮痛を行います。
病棟看護師さんにも申し送りしましょう!
【参考文献】
- 山本 千恵 編集,麻酔看護ぜんぶ見せパーフェクトBOOK 現場のふとした“なぜ?”を取り上げたQ&Aもたっぷり!,メディカ出版,2021,p129ー131
- 廣瀬 宗孝 編著,術前・術後の患者説明にも使える!基礎疾患46の周術期看護「やる」「やらない」チェックポイントBOOK,メディカ出版,2020,p113-117
- 草柳かほる・山口紀子・峯川美弥子 編著,ナーシング・プロフェッション・シリーズ 手術看護 第2版 術前術後をつなげる術中看護,医歯薬出版,2018,p219ー234
- オペナーシング編集室,OPE NURSING 2022 vol.37 no.9,メディカ出版,2022,p32ー35
- エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018
療養病棟3年(准看)→手術室6年(正看)
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「メディカLIBRARY」エッセイ連載
オペナースしゅがーの脳腫瘍日記
「NURSE LIFE MIX」NLMメイトとして記事連載中
オペ看ラボ
漫画:しゅがーは手術室にはいられない
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