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しゅがー
手術室看護師
准看護師3年(療養病棟)
正看護師6年(手術室)

【資格】
・正看護師
・YMAA認証マーク取得
・KTAA認証マーク取得

【Instagram】
🌸メディカ出版│月刊誌「オペナーシング」にエッセイ連載
🌸メディカ出版│学び方を学ぶ、選択肢を増やす「メディカLIBRARY」にエッセイ連載
🌸クラシコ株式会社│看護師の毎日を応援するライフスタイルメディア「NURSE LIFE MIX」NLMメイトとして記事連載中

【図解あり】洗浄・消毒・滅菌の違いとは?手術室看護師が押さえたい基礎知識

手術室で毎日耳にする「洗浄・消毒・滅菌」。
当たり前のように使っている言葉ですが、いざ「どう違うの?」と聞かれたとき、うまく説明できますか?

なんとなくわかっているようで、いざ説明しようとすると意外と難しいこれらの用語。
実は、それぞれが意味する内容もまったく異なります。
この違いをしっかり理解することは、器材の適切な管理や感染対策の根拠につながります。
そして何より、「なんとなくやっている」を「根拠をもって実践できる」に変える、大切な一歩になります。

この記事では、洗浄・消毒・滅菌・無菌操作の違いから、スポルディング分類・消毒薬の水準・滅菌方法の使い分けまで、手術室看護師が押さえておきたい基礎知識を図解とともにわかりやすくまとめています。

手術室に配属されたばかりの新人ナースはもちろん、知識を整理したいベテランナースの方にも、ぜひ参考にしていただけると嬉しいです。

この記事を書いた人
しゅがー

自著
総合医学社「オペ看ノート」

メディカ出版「メディカLIBRARY」
エッセイ:オペナースしゅがーの脳腫瘍日記

クラシコ株式会社「NURSE LIFE MIX」
NLMメイトとして記事連載中
記事:オペ看ラボ
漫画:しゅがーは手術室にはいられない


Instagramはこちら

もくじ

洗浄・消毒・滅菌・無菌操作の違いとは?

手術室では「洗浄して」「消毒して」「滅菌に出して」という言葉が日常的に飛び交います。
しかし、それぞれが何を目的とした操作なのか、明確に説明できますか?

この4つは「器械や環境をきれいにする」という点では共通していますが、対象・目的・効果の範囲がまったく異なります
混同したまま業務を続けると、感染リスクの見落としや器材の誤った処理につながりかねません。

まず、それぞれの用語を整理してみましょう。

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用語定義
洗浄対象物からあらゆる異物(血液・体液・汚れなど)を取り除くこと。
消毒芽胞を除く全ての、または多くの病原微生物の数を減らしたり無害化すること。
必ずしも全微生物を死滅させるわけではない。
滅菌芽胞を含む全ての微生物を殺滅し、微生物の存在確率を100万分の1以下にすること。
無菌操作物品などの無菌状態を維持しながら操作を行うこと。

「芽胞」って何?

芽胞とは、一部の細菌が形成するシェルターのような構造体です。
アルコールや100℃の熱にも耐えることができ、高水準消毒薬を用いても一部の芽胞菌では死滅しません。
この芽胞まで除去できるのが「滅菌」です。

洗浄の種類と特徴

滅菌・消毒を行う前には、必ず洗浄が必要です。

汚れが残っていると滅菌が不完全になるよ。

洗浄方法には大きく「用手洗浄」と「機械洗浄」があります。

用手洗浄

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方法概要適した器械
ブラッシング洗浄洗剤とブラシで汚れを落とす内腔のある器械・繊細な器械の前洗浄
浸漬洗浄洗浄剤に浸け、見えない汚れを浮かす内腔のある器械(洗浄液を十分に満たすこと)
清拭洗浄洗剤とガーゼで汚れを拭き取る水漏れ・浸漬厳禁の器械

夜間の手術など、手術終了後すぐに洗浄ができない場合は、蛋白凝固防止剤を使用します。

出典:蛋白凝固防止剤 S CLEAN プレ

機械洗浄

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方法概要注意点
ウォッシャーディスインフェクター(WD)90〜93℃で自動洗浄・すすぎ・消毒・潤滑・乾燥する内腔が細い器械は洗浄不良になることがある
超音波洗浄装置超音波の振動で微細な汚れを洗浄するラテックス・プラスチック製品には適さない
減圧沸騰式洗浄装置内部の気圧を下げて洗浄水を沸騰させ、無数の気泡で洗浄する材質・形状を問わず同時洗浄が可能

スポルディングの分類に基づく消毒薬の分類

消毒薬の使い分けには、「スポルディング分類」が基準として広く使われています。

消毒薬の水準

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高水準消毒芽胞が多数存在する場合を除き、ほぼ全ての微生物を死滅グルタルアルデヒド
過酢酸
フタラール
粘膜や創傷のある皮膚と接触するもの
・軟性内視鏡
・麻酔器回路など
中水準消毒結核菌・細菌・ウイルス・真菌を不活化(芽胞は無効なことも)次亜塩素酸ナトリウム
アルコール
ポビドンヨード
粘膜や創傷のある皮膚と接触する器具で形状が単純な器具
・喉頭鏡ブレードなど
低水準消毒細菌・真菌・一部のウイルスに有効(結核菌・芽胞には無効)第4級アンモニウム塩
クロルヘキシジングルコン酸塩
両性界面活性剤
創傷のない正常な皮膚に触れるものおよび皮膚には触れないもの
・血圧計マンシェットなど

滅菌方法の種類と使い分け

手術室や中央材料室で使われる主な滅菌方法は以下の4つです。
器械の素材や耐熱性によって使い分けます。

① 高圧蒸気滅菌(AC・オートクレーブ)

最もよく使われる滅菌方法です。
121〜135℃の高温・高圧の飽和水蒸気により、微生物のタンパク質を凝固させて殺滅します。

滅菌できるもの金属器械(メス・鉗子など)、ガーゼ、リネン類、ガラス、耐熱プラスチック
滅菌できないもの高温・高圧・高湿に耐えられないもの(非耐熱性プラスチック製品など)
メリット毒性がなし・コストが安い
デメリット熱・高圧・水に弱い素材には使えない

② 過酸化水素ガスプラズマ滅菌

高圧蒸気滅菌ができない精密機器に使われる低温滅菌法です。
過酸化水素とプラズマを用いた滅菌法で、45〜55℃程度で処理でき、フリーラジカルの作用で微生物を殺滅します。
代表的な滅菌器は「ステラッド」や「V-PRO」です。

滅菌できるもの硬性鏡・カメラなどの光学機器、精密機器、ゴム・プラスチック素材
滅菌できないもの繊維類(ガーゼ・タオル)、液体、粉末、紙製包装材
メリット精密機器を滅菌可能・残留毒性が少なく安全性が高い
デメリットコストが高い・過酸化水素の管理が必要

包装材はプラスチック素材のものを使用すること。
紙製の包装材は過酸化水素を吸着して滅菌不良の原因になります。
インジケータも、過酸化水素ガスプラズマ滅菌に対応したものを使用します!

③ EOG滅菌(酸化エチレンガス滅菌)

45〜60℃の酸化エチレンガスが微生物のDNAをアルキル化して死滅させます。
熱に弱いゴム・プラスチック・光学機器に対応できますが、ガスに強い毒性があるため、近年は過酸化水素ガスプラズマ滅菌に移行している施設が増えています。

メリット低温・低圧で滅菌可能
デメリットガスの毒性が強い・エアレーション(残留ガス除去)に数日かかることもある

④ フラッシュ滅菌(ハイスピード滅菌)

高圧蒸気滅菌の一種で、真空引きや乾燥工程を短縮した緊急用の滅菌法です。
手術中に器械を落とすなどして汚染してしまい、代替器械がない場合に選択されます。

日常的な使用は推奨されていません。
AAMIやCDCなどの国際ガイドラインでは「緊急時に限定した最終手段」と位置づけられています。
空気除去が不十分になるリスクがあり、滅菌不良を起こす可能性があります。

滅菌方法の比較まとめ

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滅菌方法温度主な対象器械特徴
高圧蒸気滅菌(AC)121〜135℃金属器械・ガーゼ・リネン類最も一般的・コスト安
過酸化水素ガスプラズマ滅菌45〜55℃光学機器・精密機器・ゴム低温・残留毒性少・コスト高
EOG滅菌45〜60℃光学機器・ゴム・プラスチック低温・毒性強・エアレーション必要
フラッシュ滅菌高圧蒸気と同様緊急時のみ緊急用・日常的使用は非推奨

まとめ

「とりあえず消毒しておけば大丈夫」「なんとなく滅菌に出している」
忙しい手術室では、つい流れ作業になってしまうことも正直あると思います。
でも、その一つひとつに「なぜこの方法を選ぶのか」という根拠を持てるようになることが、手術室で患者さんを守る確かな実践力につながっていきます。

今日学んだことが、明日からの器材管理や後輩への指導に、少しでも役立てていただけたら嬉しいです。

【参考文献】

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