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しゅがー
手術室看護師
准看護師3年(療養病棟)
正看護師6年(手術室)

【資格】
・正看護師
・YMAA認証マーク取得
・KTAA認証マーク取得

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手術中の低体温を防ぐ!温風式加温装置の基本と注意点【ベアーハガー・CALIMA・Level1】

手術中は、麻酔や手術環境の影響で体温が下がりやすくなります。
しかし、低体温は「寒い」だけの問題ではありません。
体温が下がることで、出血が増えやすくなったり、麻酔からの覚醒が遅れたり、術後感染のリスクが高まることもあります。
場合によっては、不整脈やシバリングを引き起こし、全身状態に影響することも!
だからこそ、手術中の体温管理はとても重要で、外回りが行う加温・保温の工夫は、患者さんの安全を守る大切なケアのひとつです。

この記事では、「なぜ手術中に体温が下がりやすいのか」「体温低下でどんなリスクが起こるのか」
そして、「温風式加温装置を安全に使うためのポイント」について整理していきます。

新人さんにも、久しぶりに外回りに入る方にも、確認として読んでもらえたら嬉しいです。

この記事を書いた人
しゅがー

自著
総合医学社「オペ看ノート」

メディカ出版「メディカLIBRARY」
エッセイ:オペナースしゅがーの脳腫瘍日記

クラシコ株式会社「NURSE LIFE MIX」
NLMメイトとして記事連載中
記事:オペ看ラボ
漫画:しゅがーは手術室にはいられない

\フォロワー5万人/
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もくじ

手術中は体温が下がりやすい!体温低下によるリスクとは

手術中、体温が下がりやすい理由

手術中に体温が下がりやすいのは、麻酔の影響と手術環境・手技によって「熱が作られにくく、かつ逃げやすい状態」になるためです。

下記の図のように、熱の喪失は一つの原因ではなく、いくつかの要因が同時に重なります。

対流:空調など、冷えた空気の流れ
伝導:術野からの熱放射など
蒸散:臓器の露出での水分の気化熱
放射:冷たい手術台などとの熱交換

再分布性低体温:麻酔により、中枢の熱が末梢に移動

合併症を引き起こすリスクが高まる

手術中の低体温は、「寒い!」だけの問題ではありません。
低体温(中枢温が36℃以下)になると、術中・術後にさまざまな合併症を引き起こすリスクが高まります。

項目起こること原因
肝臓の代謝機能の低下麻酔覚醒遅延に繋がる。肝臓で薬を分解する力が弱くなり、薬が体に長く残るため。
血液凝固能の低下出血しやすくなる。
輸血の使用量が増える。
凝固因子や血小板の働きが悪くなり、血が固まりにくくなるため。
免疫機能の低下創部感染率が高くなる。
創治癒の遅延に繋がる。
交感神経系の緊張が末梢血管収縮反応を生じ、末梢循環障害となる。
そのため、酸素が十分に組織へ届かず、免疫力が下がるため。
ノルアドレナリン分泌増加不整脈が起こりやすくなる。
心負荷の増大に繋がる。
末梢血管収縮により血圧が上昇し、血中のノルアドレナリン濃度を上昇させるため。
シバリングの発生身体が震える。
酸素消費量が増加する。
体温低下とセットポイントの上昇によって起こる。
シバリングとは、骨格筋の不随意で小刻みな収縮で、非体温調節性シバリングと体温調節性シバリングに分類される。
シバリング発生時は酸素消費量増加、眼圧や脳圧の上昇、創部痛の増強などの原因となる。

これらの合併症を避けるために、手術中は積極的な加温・保温で体温を維持することが重要です。

低体温のリスクを防ぐには、加温や保温でしっかり体温を維持することが大切…

温風式加温装置の基本と注意点

低体温を防ぐために、手術室で広く使用されているのが温風式加温装置です。

3MのベアーハガーやコヴィディエンジャパンのCALIMA(カリマ)、ICU Medical(旧スミス・メディカル)Level 1なんかが有名かな。

温風式加温装置とは?

温風式加温装置は、送風ホースとブランケットを接続し、加温された空気を体表面に循環させて、対流熱により加温する装置です。
短時間で、広範囲の皮膚表面を加温できる点が特徴です。

ブランケットは「単回使用」が原則!

ブランケットにはさまざまな種類があって、
手術体位に応じて選択するよ💡

温風式加温装置で使用するブランケットは、基本的に単回使用が原則です。

ブランケット使いまわしのリスク

・感染のリスクが高まる
・ブランケットが破損し、温風の流路が閉鎖する
・破損部から温風が漏れ、熱傷のリスクが生じる

ブランケットを使い回すと、これらの問題が起こります。

温風ではなくヒータ式を用いた加温装置の中には、ブランケットやマットレスをリユース可能としている製品もあるよ!

下肢虚血を伴う手術は要注意!

下肢虚血を伴う手術や、循環障害のある患者では注意が必要です。

虚血状態の組織に温風を当てると、血液循環が悪いため熱が逃げにくくなります。
その結果、熱が局所にたまり、低温熱傷を起こすリスクがあるんです。

そのため、下肢虚血を伴う手術や循環障害のある患者では、虚血部位への使用を避けることが大切です。

使用時のチェックポイント

温風式加温装置を使用する際は、患者の体温や皮膚の状態を定期的に観察しましょう。

本体
送風ホース
ブランケット
破損がないか
位置は適切か
特にベッド昇降時に挟まれて破損することがあるので注意!
送風ホース皮膚に直接触れていないか熱傷・褥瘡の原因になる。
ブランケットブランケットや送風が術野にかかっていないか清潔が保てなくなる。
手術操作の妨げになる。
四肢に固定する場合は、強く締めていないか熱傷・褥瘡の原因になる。
患者体表との間にタオルケットなどを挟んでいないか温風対流が妨げられ、加温・保温効果の低下になる

おわりに

手術中の体温管理は、低体温による出血や感染、覚醒遅延など、術中・術後の経過に大きく影響します。
体温が下がることで、凝固能や免疫機能が低下し、患者さんの回復に影響を及ぼすこともあります。
そのため、体温を維持することは、患者さんの安全を支える重要な看護ケアのひとつです。

温風式加温装置は、周術期の低体温を防ぐために欠かせない手段ですが、使い方を誤ると、熱傷や感染リスクにつながる可能性があります。
機器の破損や位置のずれ、皮膚状態の変化を見逃さないことが大切です。

外回りが行う機器の点検や皮膚の観察、加温位置の調整といった日々の積み重ねが、合併症予防につながっていきます。
忙しい中でも、「いつも通りできているか」を立ち止まって確認する意識を、これからも大切にしていきたいですね。

【参考文献】

  • 讃岐 美智義 編著:手術室のME機器.メディカ出版 ,p267-269,2025
  • 草柳かほる 他編著:手術看護術前術後をつなげる術中看護 第2版.医歯薬出版,p155-158,2018
  • 日本麻酔科学会・周術期管理チーム委員会 編著:周術期管理チームテキスト第4版,日本麻酔科学会,p370,2021
  • ソルベンタムイノベーション株式会社:3M ベアーハガー ペーシェントウォーミング ブランケット 添付文書
  • ソルベンタムイノベーション株式会社:3M ベアーハガー 体温管理製品 よくある質問1
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