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しゅがー
手術室看護師
准看護師3年(療養病棟)
正看護師6年(手術室)

【資格】
・正看護師
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・KTAA認証マーク取得

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【間欠的空気圧迫装置】DVT・PTE予防のつもりが逆効果?手術室で使うフットポンプ!使用前に知っておきたいポイント

DVT(深部静脈血栓症)やPTE(肺血栓塞栓症)は、手術室で働いていると一度は耳にする言葉ですよね。
間欠的空気圧迫装置(フットポンプ)も日常的に使われていて、「とりあえず装着するもの」という印象を持っている方もいるかもしれません。
でも実は、血栓ができる仕組みや手術との関係を理解していないと、予防のつもりが思わぬリスクにつながることがあります。

手術は、患者にとって血栓ができやすい状況がそろいやすい場面です。
だからこそ手術室看護師には、正しく知り、適切に判断する視点が大切になります。

この記事では、DVT・PTEの基本を整理しながら、手術室でなぜ予防が重要なのかを一緒に確認していきます。
間欠的空気圧迫装置を「安心して使う」ための土台づくりとして、ぜひ参考にしてくださいね。

この記事を書いた人
しゅがー

自著
総合医学社「オペ看ノート」

メディカ出版「メディカLIBRARY」
エッセイ:オペナースしゅがーの脳腫瘍日記

クラシコ株式会社「NURSE LIFE MIX」
NLMメイトとして記事連載中
記事:オペ看ラボ
漫画:しゅがーは手術室にはいられない

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もくじ

DVT・PTEってなに?

DVTやPTEは、間欠的空気圧迫装置(フットポンプ)を理解するうえで欠かせない重要なキーワードです。
名前は聞いたことがあっても、起こる仕組みや手術との関係まで説明できる人は意外と少ないかもしれません。
まずはDVT・PTEとは何かを整理し、なぜ手術室で予防が重要なのかを確認していきます。

カルテでよく使われる略語

  • DVT:深部静脈血栓症(Deep Vein Thrombosis)
  • PTE:肺血栓塞栓症(Pulmonary Thromboembolism)
  • VTE:静脈血栓塞栓症(Venous Thromboembolism)※DVTとPTEを合わせた総称
  • IPC:間欠的空気圧迫法(Intermittent Pneumatic Compression)

要因とリスクについて

DVT(深部静脈血栓症)は、主に下肢や骨盤内の深部静脈に血栓ができた状態です。

特に多いのは、ふくらはぎにあるヒラメ静脈とされているよ!

この血栓が血流に乗って肺動脈まで流れ、肺の血管を塞いだ状態がPTE(肺血栓塞栓症)です。

血栓ができる背景には、「Virchowの3徴」と呼ばれる3つの要因があります。

ひとつ目は、血液凝固能の亢進です。
手術侵襲や炎症反応により、血液が固まりやすくなります。

ふたつ目は、静脈血流のうっ滞です。
手術中の同一体位や麻酔による筋弛緩で、下肢の筋ポンプ作用が低下します。
その結果、下肢静脈の血液が心臓へ戻りにくくなります。

みっつ目は、静脈壁の障害です。
手術操作による圧迫や牽引、血管損傷により、血管内皮が傷つきます。

このように、「手術」は血栓形成の条件がそろいやすい状況です。
だからこそ、手術室ではDVT・PTEの予防がとても重要になります。

DVT(深部静脈血栓症)PTE(肺血栓塞栓症)
主に下肢や骨盤の静脈に血栓ができた状態。
代表的な好発部位は、ヒラメ筋静脈。
深部静脈などでできた血栓が血流に乗って肺動脈に流れ込み、肺の血管を塞いでしまった状態。
血栓ができる3つの主要因:Virchowの3徴
血液凝固能の亢進…手術侵襲や炎症反応により凝固系が活性化し、血液が固まりやすくなる
静脈血流のうっ滞…手術中の同一姿勢保持や麻酔による筋弛緩により下肢筋ポンプ作用が低下し、下肢静脈の血液還流が妨げられる
静脈壁の障害………手術操作による直接的な血管損傷や圧迫・牽引などにより、血管内皮が障害される
リスク因子
手術・先天性凝固異常・外傷・がん・長期臥床など

「手術」は、リスク因子のひとつ!
だから、しっかり予防しなきゃ!

間欠的空気圧迫装置(フットポンプ)

間欠的空気圧迫装置(フットポンプ)とは

間欠的空気圧迫装置(フットポンプ)は、手術中や術後など、下肢の血流が滞りやすい患者に使用し、DVT(深部静脈血栓症)を予防するための機器です。

「フットポンプ」って呼ばれるよね!

下腿や足底に装着したカフ(スリーブ)に一定の圧で空気を送り込み、加圧と解除を繰り返す構造になっています。

下肢をやさしく圧迫してマッサージすることで、静脈の血流を促進してDVTを予防するよ!

使用を控えるべき病態

間欠的空気圧迫装置(フットポンプ)は、DVT予防にとても有効な機器です。
ただし、すべての患者さんに使えるわけではありません。

誰にでも使っていいわけじゃないよ!
むしろ、使うことで逆に危険になる患者さんもいる!

まず、重度の末梢動脈疾患がある場合です。
カフ(スリーブ)で下肢を圧迫すると、下肢動脈の血流障害を悪化させるリスクがあります。

次に、重症のうっ血性心不全です。
静脈還流が増えると、心臓の前負荷が増加し、心不全も悪化につながる可能性があります。

そして最も注意が必要なのが、すでにDVTや浮遊性血栓がある場合です。
下肢の血流を促進すると、血栓が血流に乗り、その血栓が肺へ流れると、PTEを引き起こす危険があります。

間欠的空気圧迫装置の使用を控えるべき病態
重度の末梢動脈疾患圧迫により下肢動脈の血流障害を悪化させるリスクがあるため
重症うっ血性心不全心臓の前負荷(心臓に戻ってくる血液量)が増えることで、心不全が悪化するリスクがあるため
DVT(深部静脈血栓症)や浮遊性血栓を伴う病態PTEを誘発する可能性があるため

そのため、間欠的空気圧迫装置(フットポンプ)を使用する前に

  • 術前にDダイマーを確認する
  • 下肢静脈エコーを行う

などで、血栓の有無を評価することが大事です。

血液データなど、術前に情報収集しておこう!

観察ポイント

間欠的空気圧迫装置(フットポンプ)は、DVT予防に欠かせない機器です。
その一方で、「装着して終わり」ではありません。
使い方や観察が不十分だと、皮膚トラブルや機器トラブルにつながることもあります。

「本当に安全に使えているか」を常に確認する視点が大切です。
ここでは、手術室で押さえておきたい観察ポイントを整理していきます。

  • 術前に「下肢に血栓がないこと」が事前に評価されているか
  • 本体の設置位置
    ※ベッドローテーションがある術式は特に注意!
    ローテーション時に、床とベッドの間に本体が挟まれ、圧迫・破損する可能性がある
  • カフ(スリーブ)と本体のホース接続が確実か、ホースは屈曲・閉塞がないか
  • 皮膚の色調(発赤など)、圧迫部の擦過傷・水疱・びらん・圧痕の有無
  • カフ(スリーブ)位置がずれていないか、締め付け具合が適切か(過度な締め付け・ゆるみがないか)
  • 体位固定具や加温装置との重なりにより、特定部位に強い圧が加わっていないか

おわりに

間欠的空気圧迫装置(フットポンプ)は、手術室では当たり前のように使われている機器です。
ですが、ただ装着するだけではなく、「この患者さんに本当に使っていいか」「安全に使えているか」を考えることが、手術室看護師の大事な役割だと感じます。
DVT・PTEの仕組みを知ることで、いつものケアの意味が少し見えてきますよね!

いつものケアを、少しだけ立ち止まって見直すことが、患者さんの安全につながります。
これからも、日々の業務の中で感じた疑問をひとつずつ整理しながら、一緒に少しずつ勉強していきましょう。

【参考文献】

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