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しゅがー
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【麻酔科のカルテには必ず書いてある】ASA-PSってなに?

麻酔科のカルテに必ずASA-PSが登場してるけど、何だろう?

今回は麻酔前評価に欠かせない【ASA-PS】について解説するよ!

この記事を書いた人
麻酔の看護師ぱん

手術室・病棟看護師を経て、大学院で麻酔について学ぶ。
現在はベテランの周麻酔期看護師として日々麻酔業務を担当。

\手術・麻酔にまつわる知識を発信中!/
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もくじ

ASA-PSとは?

米国麻酔科学会(American Society of Anesthesiologists:ASA)による術前身体状態(Physical Status:PS)の分類のこと!

★point

一言でいうならば、「麻酔を受ける患者の術前全身状態を評価するもの」

定義

全部で6段階!

全部で6段階!

1963年に採用されたものは5段階で、その後長らく使用されていた。
1980年に脳死患者に対するASA-PS 6が新たに追加され、6段階になった。
2014年には最新版が発表され、2020年さらには2026年1月に修正が発表されたよ。

American Society of Anesthesiologists Statement on ASA Physical Status Classification Syste.

ASA-PS定義
1通常の健康な患者
2軽度の全身疾患を有する患者
3重度の全身疾患を有する患者
4常に生命を脅かすような重篤な全身疾患を有する患者
5手術なしでは生存が期待できない瀕死の患者
6臓器提供のために臓器を摘出する脳死宣言患者

※ 緊急手術の場合、ローマ数字の後に【E】をつける。
緊急手術とは治療の遅れが生命や身体の一部に致命的になる状態のこと。

ASA-PSで瞬時に患者を把握!

★point

ASA-PSは麻酔科が患者評価に使うシンプルな共通言語

ASA-PSは、患者の重症度を互いに共有するために用いられる。
特に急変時や急な担当交代が必要な際には、数秒で患者背景を把握しなくてはならない。
ASA-PSを用いることで即時に患者の重症度を把握し、治療介入を行うことができる。

患者申し送りの場

分類の具体例

定義の不確実性を補う目的で、2014年それぞれのPSに対する具体例が追加。
2026年には例がより具体的になり、強化されたよ!
成人・小児・産科に分けて示されている。

1. 成人

スクロールできます
ASA-PS成人の例
1健康

非喫煙
アルコール摂取なし、または最小限
2明らかな機能障害や臓器障害を伴わない軽度の疾患のみ

現在の喫煙者
機会飲酒
妊娠
肥満(30<BMI<40)
良好に管理されている糖尿病または高血圧
軽度の肺疾患
NYHA分類1度の心不全
軽度の認知機能障害
CPAPを処方どおり遵守している、単独性の軽症〜中等症の閉塞性睡眠時無呼吸
3実質的な機能制限;1つ以上の中等度から重度の疾患

COPD
病的な肥満(BMI ≥40)
活動性代償性肝硬変
アルコール依存症または乱用
機能しているペースメーカー
駆出率の中等度の低下またはNYHA分類2または3度の心不全
定期的な透析を受けている末期腎不
3ヶ月以上前の
  心筋梗塞・脳卒中・一過性脳虚血疾患・肺塞栓・冠動脈疾患/ステントの既往
著明な認知機能障害
単独の重症閉塞性睡眠時無呼吸(CPAPの遵守状況にかかわらず)、または、CPAP非遵守の閉塞性睡眠時無呼吸(重症度を問わない)
末梢臓器障害の有無にかかわらず、コントロール不良の糖尿病または高血圧
4最近(3ヶ月以内)の
   心筋梗塞・脳梗塞・一過性脳虚血発作・冠動脈疾患/ステント留置
持続性心虚血
重度の弁膜機能障害
駆出率の著しい低下またはNYHA分類4度の心不全
ショック
敗血症
播種性血管内凝固(DIC)
ARDS
定期的な透析を受けていない末期腎不全
非代償性肝硬変
重度の認知機能障害
5腹部または胸部動脈瘤の破裂
重篤な外傷
圧迫所見のある頭蓋内出血
重篤な心疾患または多臓器・多系統機能不全を伴う腸管虚血

例えば…

2026年度版では、「機能制限の有無」がIIとIIIの分かれ目として明確化されたのが大きい!
もしDMでも…

  • コントロール良好・日常生活問題なし→ PS II
  • 倦怠感・活動制限・合併症あり→ PS III

になるということだね!

他にも、

  • 心機能の評価としてNIYHA分類が組み込まれた
  • 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の重症度とCPAPの遵守が追加された
  • 認知機能障害が明示的な例として新たに追加、重症度で整理された
  • 肝障害が、代償/非代償で明確化された

などの改訂がありました(変更・追加点は、表内太字で表記)。

2. 小児

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ASA-PS小児の例(これらに限定されない)
1健康(急性・慢性疾患なし)

年齢に対するBMIパーセンタイル正常値
2無症状の非チアノーゼ型先天性心疾患
良好に管理されている不整脈
増悪のない喘息
良好に管理されているてんかん
インスリン非依存型糖尿病
年齢別BMIパーセンタイルの異常
軽度~中等度の閉塞性睡眠時無呼吸
寛解状態にある悪性腫瘍
軽度の機能制限を伴う自閉症
悪性高熱のリスク(家族歴または患者自身の既往歴)
3未修正の安定した先天性心疾患
増悪を伴う喘息
コントロール不良のてんかん
インスリン依存性糖尿病
病的肥満
栄養不良
重度のOSA(閉塞性睡眠時無呼吸症候群)
腫瘍状態
腎不全
筋ジストロフィー
嚢胞性線維症
臓器移植歴
脳/脊髄奇形
症候性水頭症
PCA60週未満の未熟児
重度の制限を伴う自閉症
代謝性疾患
気道困難
長期非経口栄養
生後6週未満の正期産児
4症候性先天性心臓異常
うっ血性心不全
活動性未熟児後遺症
急性低酸素虚血性脳症
ショック
敗血症
播種性血管内凝固症候群
植込み型自動除細動器
人工呼吸器依存症
内分泌障害
重度の外傷
重度の呼吸窮迫
進行した腫瘍学的状態
5大規模な外傷
大量影響を伴う頭蓋内出血
ECMOを必要とする患者
呼吸不全または呼吸停止
悪性高血圧
非代償性うっ血性心不全
肝性脳症
虚血性腸または多臓器/系統の機能不全。

3. 産科

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ASA-PS産科の例
1
2正常な妊娠* 
適切に管理されている妊娠高血圧症
食事療法で管理されている妊娠糖尿病
3重症所見の有無にかかわらない子癇前症
コントロール不良、または合併症を伴う、あるいは高用量インスリンを要する妊娠糖尿病
抗凝固療法を必要とする血栓性疾患
4HELLP症候群やその他の有害事象を合併した重症の子癇前症
周産期心筋症
未治療または非代償性の心疾患
5子宮破裂
羊水塞栓症

*妊娠は病気ではないが、出産の生理学的状態は、女性が妊娠していないときから著しく変化するため、合併症のない妊娠を持つ女性にASA2が割り当てられる

臨床だけでなく、研究にも使われる

周術期領域の研究で、ASA-PSは対象患者の背景としての術前重症度を定義するために使用されている。
また、手術患者の予後予測の指標としてASA-PSの有用性に関する検討が重ねられている。

ASA-PSの弱点

ASA-PSは評価者間信頼性の低さが、しばしば問題になることがある。

評価者間信頼性??

「同一患者に対する分類が判定者によって異なる」ことによる信頼性を指すよ!
同じ患者さんのASA-PSが、ある先生は2をつけたけど、違う先生は3をつけた、という事があるんだよね。

評価者間信頼性の低さが生じる要因

①判定者要因

  • 経験症例数:多い方が低めに分類する傾向
  • 職種:看護師は低め
  • 施設:教育施設では高め

②患者要因

  • 喫煙、妊娠、外傷、肥満、COPD、睡眠時無呼吸症候群、高血圧症、腎機能障害、内分泌疾患、複数の併存疾患などがあげられている
★point

ASA-PSは周術期のリスク予測因子として有用とされているけれど、判定に幅があるということを考慮しておく必要があるということだね。

この記事を書いた人
麻酔の看護師ぱん

手術室・病棟看護師を経て、大学院で麻酔について学ぶ。
現在はベテランの周麻酔期看護師として日々麻酔業務を担当。

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参考文献

  • American Society of Anesthesiologists Statement on ASA Physical Status Classification Syste. https://journals.lww.com/anesthesiologyopen/fulltext/2026/01000/american_society_of_anesthesiologists_statement_on.2.aspx?utm_source=chatgpt.com
    Anesthesiology Open 1(1):p e0002, January 2026. DOI: 10.1097/ao9.0000000000000002  Accessed April. 22, 2026.
  • 谷 真規子. 特集 周術期マネジメント【ミニコラム】ASA-PS分類—麻酔科医が患者評価に用いる簡潔明瞭な共通言語. Hospitalist 4巻2号 (2016年6月発行)p212-215
    DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900150
  • 津崎晃一. 徹底分析シリーズ 術前診察 基本の「き」術前評価の共通指標ASA-PSを知る—“Back to basics”. LiSA 25巻4号 (2018年4月発行)p434-437. 
    DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201103
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