手術室では、薬剤を安全に投与するためにいろいろなポンプを使います。
よく登場するのはシリンジポンプとTCIポンプで、どちらも麻酔管理に欠かせない存在です。
一方で、病棟でおなじみの輸液ポンプは手術室だと出番が少なめ。
久しぶりに触ると「あれ?どうだったっけ?」となりがちです。
今回は、この3つのポンプを手術室看護師の目線でわかりやすくまとめました。
明日の業務がちょっとラクになるように、サクッと整理していきます。

自著
総合医学社「オペ看ノート」
メディカ出版「メディカLIBRARY」
エッセイ:オペナースしゅがーの脳腫瘍日記
クラシコ株式会社「NURSE LIFE MIX」
NLMメイトとして記事連載中
記事:オペ看ラボ
漫画:しゅがーは手術室にはいられない
\フォロワー5万人/
Instagramはこちら
手術室で使う3つのポンプ

手術室ではさまざまな薬剤を安全に投与するために、ポンプ類の知識が欠かせません。
特に登場回数が多いのがシリンジポンプとTCIポンプです。
どちらも麻酔管理に深く関わるため、オペ看として最低限の仕組みを知っておくだけで、場面ごとの対応がぐっと変わります。
一方で、一般病棟でよく見かける輸液ポンプは、手術室では出番が少なめです。
それでも、使う場面がないわけではありません。
経験年数に関わらず、基本を押さえておくと安心につながります。
今回は、それぞれのポンプの特徴と使い分けを、手術室看護師の視点で分かりやすく整理しました。
輸液ポンプ
輸液ポンプとは

輸液ポンプは、輸液量を一定に保ちながら安全に投与するために欠かせない医療機器です。
病棟では日常的に使われますが、手術室では使用頻度がやや低めです…。

私がいた手術室では、患者さんが入室する時に輸液ポンプを装着していることが多く、まずはそれを外してから手術室へ案内していました。
久しぶりに輸液ポンプを扱うと、思い出すまでに少し時間がかかり、焦ってしまうこともありました…。
そんな経験があると、使用頻度が低い機器ほど「基本だけでも押さえておきたいな」と感じます。
ここでは、手術室での使用場面を踏まえながら、輸液ポンプの特徴と基本操作を分かりやすくまとめていきます。
- 薬液を一定の流量で制御する装置
- 滴数制御型と流量制御型がある
- 流量精度は±10%以内



機種によって、駆動方法や専用の輸液チューブが異なるので、自分の施設ではどれを使用しているか確認しましょう!
輸液ポンプの使い方
し、クレンメを閉じる。
クレンメは本体より下流側に設置する。
クレンメを下流側に設置するのはなぜ?
・上流側だと閉塞センサーが感知できない機種が多い
・気泡発生時、閉塞発生時の処置が行いやすい
ポンプ内部は、輸液ルートがたるまないようにする。
※滴数制御型の場合
取り付ける際、滴下筒が傾いていないか確認する。
針の刺入部に異常がないか確認する。
輸液ポンプの外し方


輸液ポンプを外すとき、特に多いのがクレンメの閉め忘れによる一気投与。
手順を正しく踏めば防げるトラブルですが、忙しい場面ではつい起こりがちです。
今回は、安全にポンプを外すための基本の流れと、気をつけたいポイントをまとめました。
クレンメを閉じないままドアを開けると、輸液が全開で投与されてしまう(フリーフロー)。
(滴数制御型の場合)
滴下を調整する。
※継続して投与する場合



クレンメを閉じるのを忘れたまま輸液ポンプを外すと、輸液が一気に投与されちゃう。
気を付けよう…!
シリンジポンプ・TCIポンプ
シリンジポンプとは


シリンジポンプは、シリンジに充填された薬剤をごく微量から安定した速度で投与できる医療機器です。
微量投与が得意で、循環や呼吸に影響しやすい薬剤を正確に投与したい場面で活躍します。
- 薬液を一定の流量で制御する装置
- 微量で安定した流量を投与できる
- 流量精度は±3%以内



オペ看は、輸液ポンプよりシリンジポンプの方がよく使うよね!
機種によって、駆動方法や設定方法が異なるので、自分の施設ではどれを使用しているか確認しましょう!
TCIポンプ


※TCI…Target Controlled Infusion(目標濃度調節注入)
TCI機能を搭載しているシリンジポンプ。
薬剤(1%ディプリバン®注-キット)を血中濃度を目標値に自動調整して持続注入できる。



TCIポンプはTIVAの時に使うことが多いよ。
※TIVA(Total Intravenous Anesthesia:全静脈麻酔)
鎮静・鎮痛・筋弛緩をすべて静脈内投与で管理する麻酔方法



麻酔の先生に「今日はTIVAで!ディプリバン®とシリンジポンプ用意してね」って言われてたのに、TCI機能がないシリンジポンプを持ってきちゃって怒られたり…。
一回やらかすと忘れないけど…できれば事前に知っておきたい…。
そうならないように、一緒に勉強していきましょう。
シリンジポンプ・TCIポンプの使い方


取り付け位置は患者と同じ高さに調整し、電源コードを接続する。
シリンジポンプを患者より高い位置に設置すると、何らかの原因でシリンジが外れた場合に、患者とシリンジポンプとの高低差により、薬液が自然投与してしまうリスクがある。
患者より低い位置に設置すると、血液が逆流するリスクがある。
そのため、取り付け位置は患者と同じ高さに調整する。
シリンジの押子をスライダーのフックで保持し、シリンジクランプで固定する。
TCI機能を使う場合は目標血中濃度、年齢、体重を設定する。
エアー抜きだけの目的でなく、シリンジ装着時に生じる押子とスライダーの隙間を解消するためにも早送り操作を行う。
針の刺入部に異常がないか確認する。
シリンジの交換方法
輸液ルートを三方活栓やクランプなどで閉じてから接続部を外す。
開放されたままだとフリーフローとなり、過剰投与のリスクがある。
早送りをして新しいシリンジの薬液を先端まで満たし、輸液ルートとシリンジを接続する。
エアー抜きだけの目的でなく、シリンジ装着時に生じる押子とスライダーの隙間を解消するためにも早送り操作を行う。



シリンジポンプとルートの接続部にゆるみがないか確認!
おわりに
シリンジポンプやTCIポンプは手術室ではおなじみの機器ですが、慣れていても「設定どれだっけ?」と迷う瞬間ってありますよね。
まして輸液ポンプは出番が少ないので、触るたびに少しドキドキすることもあります。
私自身も何度か「あれ?やばい、忘れてる…」と焦ったことがあって、そのたびに基本の大切さを痛感しました。
今回の記事は、そんな小さな不安を少しでも軽くしたくてまとめました。
基本の操作や注意点を押さえておくだけでも、いざという時に落ち着いて対応できます。
手術室は覚えることがとにかく多いですが、焦らず一歩ずつ進めていきましょう。
【参考文献】
- 日本麻酔科学会・周術期管理チーム委員会 編著:周術期管理チームテキスト第4版,日本麻酔科学会,p157-158,2021
- 讃岐 美智義 編著:手術室のME機器.メディカ出版 ,p128-137,2025
- 武田知子 編著:NEWはじめての手術看護.メディカ出版,p118,2022
- 讃岐美智義 著:周術期でよくつかう薬の必須ちしき,メディカ出版 ,p56-70,2016
- テルモ株式会社:テルフュージョン 輸液ポンプTE-131 添付文書
- テルモ株式会社:テルフュージョン シリンジポンプSS型3TCI 添付文書


















