MENU
しゅがー
手術室看護師
准看護師3年(療養病棟)
正看護師6年(手術室)

【資格】
・正看護師
・YMAA認証マーク取得
・KTAA認証マーク取得

【Instagram】
🌸メディカ出版│月刊誌「オペナーシング」にエッセイ連載
🌸メディカ出版│学び方を学ぶ、選択肢を増やす「メディカLIBRARY」にエッセイ連載
🌸クラシコ株式会社│看護師の毎日を応援するライフスタイルメディア「NURSE LIFE MIX」NLMメイトとして記事連載中

ドレーン基本まとめ|種類・留置部位・挿入手順・排液観察まで解説!【手術室看護師】

「このドレーン、何のために入ってるんだろう…」
器械出し中にそんな疑問を感じたことはありませんか?

ドレーンは腹部外科をはじめ、胸部・整形外科など多くの術式で使用される、術後管理において欠かせない存在です。
しかし、種類や留置部位・管理方法まで含めると、はじめのうちは情報量の多さに圧倒されてしまうこともあります…。

「なんとなく入っているもの」として流してしまうと、術中の器械出しや術後の観察で迷う場面が増えてしまいます。逆に、「なぜ入っているのか」「どこに・どんな形状のものが使われるのか」を理解しておくと、術者の次の行動が予測しやすくなり、自信を持って対応できるようになります!

この記事では、ドレーンの基本的な目的からはじまり、形状の違い・腹部の留置部位・挿入手順・固定方法・排液の扱い方まで、手術室看護師として知っておきたい内容を順番に整理していきます。
一度で全部覚えようとしなくて大丈夫です。
まずは「基本の流れ」をつかむことを目標に、一緒に確認していきましょう。

この記事を書いた人
しゅがー

自著
総合医学社「オペ看ノート」

メディカ出版「メディカLIBRARY」
エッセイ:オペナースしゅがーの脳腫瘍日記

クラシコ株式会社「NURSE LIFE MIX」
記事:オペ看ラボ
漫画:しゅがーは手術室にはいられない


Instagramはこちら

もくじ

ドレーンとは

体内に貯留した血液や浸出液などを体外へ排出することを「ドレナージ」といい、これを行うために挿入する管を「ドレーン(ドレナージチューブ)」といいます。

手術後の体内では、出血・浸出液などがじわじわと漏れ出し、周囲に貯留することがあります。
こうした液体が体内に留まったままになると、細菌の温床となり、感染などの重篤な合併症につながる可能性があります…。

ドレーンはこのような事態を防ぐために挿入されます。
術後管理において「何が出てきているか」を観察することは、合併症の早期発見にも直結するため、手術室看護師にとっても重要な視点のひとつです。

ドレーンの目的

ドレーンの目的は大きく3つに分類されます。

「情報ドレーン」は、術後に「何が・どのくらい・どんな性状で出ているか」を観察することで、出血や縫合不全などの異常をいち早くキャッチする役割を持っています。

「予防ドレーン」は、排液や排気が体内に貯留するのを防ぐために留置されます。

「治療ドレーン」は、すでに貯留した膿などを排出するために使われます。

スクロールできます
情報ドレーン出血や感染、縫合不全など
術後のトラブルを早期発見するため
胸腔ドレナージ (肺切除術・食道切除術など)
関節腔ドレナージ (人工関節置換術など)
縫合部・吻合部ドレナージ (胃切除術など)
皮下ドレナージ (開腹手術・開胸手術など)
予防ドレーン排液や排気によって体液貯留を防ぎ、
感染を予防するため
治療ドレーン貯留した膿などを排出するため胆道ドレナージ (胆汁うっ滞・閉塞性黄疸)
イレウス管(腸閉塞)など

ドレーンの形状

ドレーンにはさまざまな形状があり、用途や排液部位によって使い分けられます。

形状によって、排液の回収方法も異なります。
フィルム型は開放式のため、排液は滅菌ガーゼなどに吸収させます。
一方、チューブ型・マルチスリット型・サンプ型は閉鎖式のため、排液バッグを接続して回収します。

器械出しの場面では、どの形状のドレーンが使われるかを事前に把握しておくと、スムーズに準備・介助ができますよ!

スクロールできます
フィルム型開放式ドレナージに用いられる。
柔らかい素材で違和感や痛みが少ないが、内腔閉塞しやすい。
また、逆行性感染が起こるリスクがある。
チューブ型閉鎖式ドレナージに用いられる。
さまざまな形がある。
内腔が閉塞しにくい。
マルチスリット型
(ブレイク型)
閉鎖式ドレナージに用いられる。
内腔ががなく、吸引溝(スリット)で構成される。
広い範囲の排液に適している。
サンプ型閉鎖式ドレナージに用いられる。
内腔が2腔(ダブルルーメン)、3腔(トリプルルーメン)など、多重構造になっている。
一方の腔から外気が入り、もう一方の腔から排液される構造(サンプ効果)により、逆行性感染が起こるリスクがある。

フィルム型ドレーンの排液は、滅菌ガーゼなどに吸収させます!
チューブ型、マルチスリット型、サンプ型ドレーンは、排液バックを接続します。

腹部のドレーン留置の位置

腹部手術では、術式や病変部位に応じて仰臥位で体液が貯留しやすい解剖学的部位にドレーンを留置します。

留置する部位関連する術式例
①右横隔膜下腔肝臓切除術など
②左横隔膜下腔胃全摘術
脾臓切除術など
③モリソン窩肝臓切除術
胆嚢摘出術など
④ウィンスロー孔肝臓切除術
膵頭十二指腸
切除術など
⑤右傍結腸溝右半結腸切除術
⑥左傍結腸溝左半結腸切除術など
⑦ダグラス窩S状結腸切除術・直腸切除術・虫垂切除術など
※男性の場合は「直腸膀胱窩」。
 便宜上、ダグラス窩と呼ぶこともある。

例えば、モリソン窩は肝臓と右腎臓の間にあるくぼみで、仰臥位では体内で最も低い位置のひとつになるため、腹腔内の液体が自然に流れ込みやすい場所です。
肝臓切除術や胆嚢摘出術でよく留置されます。

また、ダグラス窩は女性では子宮と直腸の間、男性では膀胱と直腸の間にあるくぼみで、骨盤内で最も低い位置にあたります。
S状結腸切除術や直腸切除術などの骨盤内手術でよく使われる留置部位です。

ドレーン挿入の手順

ドレーンの挿入方法はさまざまですが、ここではトロッカー針つきのドレーンを使った手順を確認していきます。

STEP
温かい生理食塩液で創内を洗浄し、擬血塊・組織片を吸引する。

器械:吸引管

洗浄を行う旨を外回りに伝える。
※外回りは、吸引器を洗浄用のボトルに交換する。
(出血量と混ざらないようにするため)

STEP
皮膚切開を行い、ドレーンの刺入部を作成する。

器械:メス(No.11など)・アドソン有鉤

出血がある場合は電気メスで止血する。

STEP
刺入部からドレーンを引き出す。

器械:ドレーン・ペアン

トロッカー針はカバーを外す。
ニードルキャプチャがある場合、開いたままで渡す。

STEP
トロッカー針を切り離す。

器械:クーパー

切り離したトロッカー針を受け取る。

STEP
ドレーンを縫合糸、またはドレッシング材で固定する。

器械:縫合糸・へガール型持針器・アドソン有鉤・クーパ・ドレッシング材

内視鏡下手術では、ポート孔を利用してドレーンを引き出すこともあります!
この場合は、トロッカー針は使いません。

ドレーン固定の例

ドレーン固定では「抜去防止」と「皮膚トラブル予防」が重要です。
せっかく留置したドレーンも、固定が不十分では抜けてしまいますし、逆にテープの貼り方が悪ければ皮膚トラブルの原因になります。

  1. 挿入部は観察できるよう、フィルムドレッシング材を貼付する。
    ※術直後、滲出液が多いときはYガーゼを用いて固定を行うこともある。
  2. テープをY字に切り、ドレーンチューブの下を通して固定する。
  3. 被膜材を塗布し、皮膚にテープを1枚貼り、その上からテープをΩ(オメガ)型に貼って固定する。

Ω型

Ω留めは粘着面積が広くなるため、しっかりとした固定力が得られます。
またΩ型に固定することでチューブが皮膚に直接当たらない構造になるため、長時間の接触による痛みや皮膚損傷(医療関連機器圧迫創傷:MDRPU)の予防にもつながります。

1枚でΩ留めができる製品もあるので、施設で使用しているものを確認しておきましょう。

1枚でΩ留めができる製品もあります。

固定方法は施設や術者によって異なることもありますが、「なぜこの固定をするのか」という目的を理解しておくと、どんな場面でも応用が利くようになります!

ドレーン排液の捨て方

ドレーンを入れる前に創内をしっかり洗浄しているため、最初は洗浄に使った生理食塩液がドレーン内に溜まっていることがあります。
そのため、排液量を正しく評価できるように、ドレーンの排液を一度リセットすることがあります。

ここでは、臨床でよく使用されるJ-VAC®サクションリザーバー(スタンダード型)を例に、排液手順を確認していきます。

J-VAC®サクションリザーバー(スタンダード型)の排液手順

  1. サクションリザーバーを傾けて排出口より排液する。
    排液の際、サクションリザーバーを押すときは浅めにゆっくり行う。
  2. サクションリザーバーをロックする。
    (両手でサクションリザーバーの中央部を音がするまで押す)
  3. フラップを後ろにやや折り曲げて固定してから排出口のキャップを閉める。
  4. フラップを音がするまで静かに上方に折り曲げて、吸引の再開始を確認する。

側面の目盛り

計測する場合は、側面の目盛りを見ましょう。

排液の観察ポイント

ドレーンが留置されたあと、術後管理において最も重要なのが排液の観察です。
「何が・どのくらい・どんな色で出ているか」を把握することが、合併症の早期発見につながります。
排液の観察は主に病棟看護師が行いますが、手術室看護師も術後訪問や退室前の確認を通じて、その基準を頭に入れておきましょう。

  • : 術直後はある程度の排液があるのは自然なことですが、急激に増加している場合は出血などを疑う必要があります。時間ごとの変化をしっかり確認します。
  • 色・性状:排液の色は、何が出ているかを判断する重要な手がかりになります。

術直後の排液は血性であることがあり、時間の経過とともに血性→淡血性→淡々血性→漿液性へと変化していくのが正常な経過です。
そのため、術後訪問の際は術後何日目かを確認してから訪問します。
同じ「血性」であっても、術直後と術後3日目では意味合いが大きく異なります。

おわりに

ドレーンの目的・形状・留置部位・挿入手順・固定方法・排液の観察まで、一通り確認してきました。
はじめは覚えることが多く感じるかもしれませんが、「なぜ入っているのか」「何を観察するのか」という視点を持つだけで、術中・術後の対応に自信が持てるようになります

まずはよく出会う術式のドレーンから少しずつ整理して、経験を積み重ねていきましょう。
この記事が、ドレーンへの苦手意識を減らすきっかけになれば嬉しいです!

【参考文献】

  • NPO法人国際健康福祉センターデバイス研究会 編:手術室デバイスカタログ,金原出版 ,p290-315,2022
  • 外科医TEE! 編著 :外科研修おたすけBOOK.メジカルビュー社,92-97,2025
  • 帯刀朋代:消化器ドレーン・チューブの基本的な固定方法.消化器ナーシング vol.27 no.7:18-21,2022
  • 猪股雅史:キーワード45でサクッと理解 消化器ドレーン・ チューブ事典.消化器ナーシング vol.28 no.9:6,2023
  • ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社:ブレイク®シリコンドレイン 添付文書
  • ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社:J-VAC®サクションリザーバー 添付文書
  • 日本コヴィディエン株式会社:マルチチャネル ドレナージ セット 添付文書
ここからシェア
  • URLをコピーしました!
もくじ