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しゅがー
手術室看護師
准看護師3年(療養病棟)
正看護師6年(手術室)

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鎮静って全身麻酔と何が違う?【鎮静管理の注意点】

全身麻酔・鎮静 違いって何?

今回は全身麻酔と鎮静の違い、注意点について!

スライドして見てね👍

この記事を書いた人
麻酔の看護師ぱん

手術室・病棟看護師を経て、大学院で麻酔について学ぶ。
現在はベテランの周麻酔期看護師として日々麻酔業務を担当。

\手術・麻酔にまつわる知識を発信中!/
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もくじ

鎮静の目的

そもそも鎮静や鎮痛って何のためにする?

鎮静・鎮痛の目的は、侵襲的な処置や検査において患者の不安や痛みを緩和することから、協力の得にくい患者や状況で療養や治療を行うこと。さらに、疾患による痛みや不安を緩和することまで多岐に渡る。

★point

鎮静・鎮痛の目的が異なると管理方法も異なるので、何のために実施するのかが大切。

鎮静の分類・定義

鎮静にはレベルがある?

1. 分類

  1. 最小鎮静 : minimal sedation
  2. 中等度鎮静 : moderate sedation
  3. 深鎮静 : deep sedation
  4. 全身麻酔 : general anesthesia
★point

鎮静のレベルは4つに分類されるが、これらの鎮静レベルの境界はあいまいで、その深さは「一連のもの」である。
ハッキリ区切られたものではなく、つながってる!

2. 定義

★point

表のように、反応性(意識レベル) 、気道、呼吸、循環によって鎮静レベルは分類される。

中等度鎮静と深鎮静レベル以上は、反応性、気道、呼吸において大きく異なる。
鎮静度が上がれば全身麻酔と同じ状態になる!
患者の状態を観察しつつ、鎮静薬を処置(侵襲の程度)に応じてコントロールする必要がある。

鎮静管理の注意点

鎮静で気をつけることって何だろう?

薬剤の効果は個人差が大きく、患者の状態や施行する医療者の技術にも影響を受ける。
そのため意図しない鎮静度になり得る。

全身麻酔では、気道閉塞に対して気道確保、呼吸停止に対して人工呼吸、循環虚脱に対して循環サポート(輸液、循環作動やくなど)を行う。
鎮静であっても、意識・呼吸・循環のモニタリングを行い、危機的状況に対応できる準備が必要。

★point

どのレベルの鎮静状態にも対応できる準備が重要!

施行前の患者評価

施行前は何をみるべき?

鎮静による危険性を評価する。主な評価項目は、気道と全身状態。

気道閉塞や呼吸抑制に陥った場合を想定した評価を行う。気道確保や換気が難しいと予想される患者への鎮静は、極めて慎重に行わなければならない。

術前全身状態評価(American Society of Anesthesiologists Physical Status: ASA-PS) のⅢ以上、気道の解剖学的異常を伴う患者では鎮静の危険性が高いため慎重に判断する必要がある。

「麻酔科医にコンサルするか?」も評価する!

鎮静管理を誰が行うか?

処置する先生が薬を投与して、その後は外回り看護師などが外回り業務をしながらモニタリングしてるなんてことがあるけど、海外でも同じですか?

米国では「鎮静担当者」が行っている。
米国病院機能評価機構(TJC) では、特別なトレーニングを受け、外部機関などで許可された者が権限を持っている。
※州法等により深鎮静を行うも者を麻酔科医または一定の資格を持つ医師に限定しているものもある

TJCでは、鎮静担当者はいかなるレベルの鎮静・鎮痛状態にある患者にも対応できる能力が求められている!

★point

日本では鎮静担当者という定義やルールはまだないが、
日本麻酔科学会は、「患者の監視に専念する医師(または看護師)の配置をしなければならない」と述べている。
必要時は的確に緊急時対応バックアップチームに連絡し、到着までの間、基本的な救命処置、少なくともバッグマスクで用手換気を実施することができる人員でなければならないとしている。

鎮静におけるMACとは

何かの資料で鎮静はMACが推奨されるって見たのですが、MACとは?

MAC (monitored anesthesia care) : 監視下鎮静管理
検査、手術、処置などで麻酔の有無に関わらず麻酔科医の監視下になされる全身管理のこと。特定の鎮静レベルを表現するものではなく、麻酔科医が厳重に監視・管理を行うことにより患者の安全を保証する管理のこと。

しかし、麻酔科医のマンパワー不足がMAC導入の障壁になっている現状がある。
安全・高質な医療の実現を目指し、今後MAC概念の浸透と麻酔科医業務整理・効率化が進むことが望まれている。

【参考文献】
公益社団法人 日本麻酔科学会. 安全な鎮静のためのプラクティカルガイド. 2021.
讃岐 美智義, 内田 整, 森本 康裕. 麻酔科臨床SUMノート. 第1版. メディカル・サイエンス・インターナショナル. 2018.
安宅 一晃. あらゆる場面で使える 鎮静・鎮痛 Q&A96. 羊土社. 2016.
乗井 達守. 処置時の鎮静・鎮痛ガイド. 医学書院. 2016.
American Society of Anesthesiologists Task Force on Sedation and Analgesia by Non-Anesthesiologists. Practice guideline for sedation and analgesia by non-anesthesiologists. Anesthesiology, 96: 1004-1017, 2002.
横田 美幸, 関 誠, 大島 勉. 日本臨床麻酔科学会誌, 31(4), 580-587, 2011.

この記事を書いた人
麻酔の看護師ぱん

手術室・病棟看護師を経て、大学院で麻酔について学ぶ。
現在はベテランの周麻酔期看護師として日々麻酔業務を担当。

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