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しゅがー
手術室看護師
元手術室看護師のしゅがーです。
看護師歴9年、そのうち6年を手術室で過ごしました。
現在は「オペ看ノート」を運営しながら、手術看護を学ぶ方に向けて、わかりやすい情報を発信しています。

▼資格
・正看護師
・YMAA認証マーク取得
・KTAA認証マーク取得

▼著書
・『オペ看ノート』(総合医学社)重版

▼執筆
・『外科研修おたすけBOOK Ⅲ 器具の知識』(メジカルビュー社)分担執筆

▼連載実績
・月刊誌「オペナーシング」エッセイ(メディカ出版/2022.09〜2023.08)
・「メディカLIBRARY」エッセイ(メディカ出版/2022.12〜2023.08)
・「NURSE LIFE MIX」NLMメイト記事連載(クラシコ株式会社/2023.04〜2026.03)

手術室の前残業、「申請できない」約6割!みんなのオペ室ではどうしてる? 690人のアンケート結果

手術室の前残業、申請できないと答えた人は約6割(58%)でした。

きっかけは、いただいた1通のDMです。
「オペの前残業も申請すれば可能と言われているけど、実際は却下される。前残業しないと間に合わないので、結局みんなサービス残業している。前残業を取れるところはあるの?」という内容でした。

例えば、朝イチの手術で、人工関節の器械出し…なんて日は、どうしても早く来て準備したくなりますよね。

そこでInstagramのストーリーズで、みなさんの病院の実態を聞いてみました。
この記事では、集まった声をパターン別に整理して、前残業との向き合い方を考えます。

この記事は、筆者のInstagramのストーリーズに設置した質問BOXを通じて、フォロワーさんから寄せられたリアルな声やDMのコメントをもとに作成しています。実際の現場での工夫や体験談をご紹介していますが、あくまで一例であり、情報によって生じた不利益・損害等については一切の責任を負いかねますので、予めご了承ください。

著者プロフィール
しゅがー

しゅがー

元手術室看護師

Instagram
もくじ

「申請できない」約6割!手術室の前残業

オペの前残業、申請すれば可能って言われてるけど、実際は申請しても却下されます。
前残業しないと絶対に間に合わないので、結局みんなサービス残業してます。
前残業を取れるところなんてあるのでしょうか?
調査してみていただきたいです。

申請できない…

58%

402票

申請できる!

26%

177票

条件による

16%

111票

「申請できる」と「条件による」を合わせると約4割。
ただ、自由記述を読むと「申請できる」職場でも、術式や時間に細かい条件がついていることがほとんどでした。

前残業代がでる職場は5パターン

アンケートで多かったのは、「前残業」ではなく「早出勤務」として扱う方法でした。

早出勤務にする

前残業としては申請せず、勤務時間ごと前にずらす方法です。

残業だと個々の能力で時間に差が出るため、入室時間に合わせて早出を設定しています。

勤務を30分早めたシフトで組まれてて(通常5:00退勤を4:30退勤)4:30すぎたら残業申請可です。

前残業ではなく、早出として扱う。
定時より30分早く始業開始したら、30分早く上がります。

他の回答を見る(7件)

9時開始のオペは朝8:30出勤だと間に合わないので、8:00から早番になります!

前残業を無くすために、開心術の器械出しは申請すると早出扱いになります!

早出勤務にして、その時間で帰れなければその分残業を取る。
前残業としては取れません。

申請というか早く来たらその分早く帰れるというシステムです!笑

早出出勤になります。

早出を付けてop準備してる。

取れるけど師長から色々言われて結局取れない。
なので8時半勤務を7時半にして1時間早く帰ってます!

前残業が取れないため、自分で勤務時間ごとずらしているケースもありました。

術式で限定する

「準備に時間がかかると分かっている手術」だけ認める職場です。

人工関節、心外、ロボットは前残業OKです。
あとはコラボの大変なオペなど!
※複数の診療科が合同で行う手術

心外や矯正固定の器械出しなど、準備に時間がかかると分かっているものはOKです。

心外、脳外、ロングの外科、ウロの外回りだけ許されてました。
器械出しは取れない…。

他の回答を見る(6件)

心外につく日だけは前残業申請できますが、他の大変な症例では早めに出勤しても貰えないです…。

前残業ができるオペが決まってる。

準備が大変なのは申請できる。

心外の器械出しは申請通ってます。

明らかに準備に時間かかるオペ、術後疼痛回診の情報収集ぐらい。

誰しもが準備が整わないと思われるとき。(外部から医師を呼んだとき)

心臓外科の手術がいちばん多く、人工関節・ロボット支援手術が続きました。

外回りだけ許可されていて、器械出しは取れないなど、役割で差がある職場もあります。

時間に上限を設ける

30分のみ。(器械が多い開心など一部は1時間まで可)

眼科やロボット手術など朝早く準備が必要なオペは30分に限って申請が通ります。

前残業取れるのは30分のみで、各科大きい手術のみと条件があります。
全てのオペでは取れないです。

術式の限定とセットになっていることが多い印象です。

夜勤が器械を展開する

前残業を「認める」のではなく、「必要なくする」アプローチです。

前残業禁止になりました。
朝イチのオペは夜勤で器械を開けてます。
整形は日勤開始後に展開です。

うちのオペ室は、打刻時間で早出勤務に変更されるシステム。
ただし早出になる術式は決まっていて、該当術式はスタッフで決めた。
あとは、今は夜勤が器械を全て開けてくれているので、前残業は以前より大幅に減りました!

整形だけ日勤で展開するのは、展開後の清潔度を保つ時間を短くしたいという感染対策上の理由ですかね。

条件付きで認める

前残業が上司の指示であれば取れます。

フォローされる側はとれるけど、フォローする側は最初の一回だけ。
二回目以降は前回の指導内容を元に一人で頑張りなさいという感じ。

連休あけの情報収集はOK。

他には、こんな声もありました。

毎日10分でも何分でも前残業したらとってますそれができないならやめてやると思うくらい給料低い。

オペ室での前残業は組合が交渉してくれて何年か前からとれます!

「制度はあるけど取れない」職場の声

申請できない理由は、制度がないことより「取りにくい」ことが多いようです。

事前に師長へ要相談。
必要時間分だけで、申請分プラスでサービス前残業はある…。

申請できるのはダビンチのみという縛りがあります。
他のオペの人もみんな働いていますが…。

前残業が当たり前になってしまってます…。

前残込みで毎月10時間分のみなし固定残業代が出ていますが、基本給が少し下がったのでなんとも…。

制度が変わっても、手取りが増えるとは限らないようです…。

そもそも前残業は「働いた時間」?

業務のために早く来て準備した時間は、労働時間にあたる可能性が高いです。

厚生労働省のガイドラインでは、労働時間を「使用者の指揮命令下に置かれている時間」としています。
明確に指示されていなくても、実質的にやらざるを得ない準備(黙示の指示)も含まれます。

ガイドラインには、次のような内容も書かれています。

  • 業務に必要な準備行為を職場内で行った時間は、労働時間として扱う
  • 自己申告できる時間に上限を設けるなど、正しい申告を妨げる扱いをしてはいけない
  • 自己申告の時間と、入退場記録などに大きな差があれば、実態調査して補正する

また、みなし固定残業代は「何時間残業しても定額」という意味ではありません。
設定時間を超えた分は、別に支払う必要があるとされています。

ただし、実際に労働時間にあたるかは個別の状況で判断されます。

参考:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(厚生労働省 平成29年1月20日策定)

前残業を減らす・前残業代を取るためにできること

ここまで、いろいろな職場の声を紹介してきました。
「うちの職場ではどうしたらいいの?」と感じた方もいるかもしれません。
前残業は、個人の頑張りだけで解決するのはなかなか難しいですよね。

そこで、みなさんの回答から見えたヒントを、個人でできることとチームでできることに分けてまとめました。

個人でできること

実際にかかった時間を記録する

術式ごとに「何分前に来て、何をしたか」をメモしておきましょう。
たとえば「人工関節の器械出し、45分前に来て器械の展開とカウント」のような書き方で十分です。
感覚で「いつも早く来てる」と伝えるより、記録があるほうが相談するときの根拠になります。

同じ術式で何回か続けて書いておくと、「この手術はこれくらい必要」という目安も見えてきますね。

対象術式の条件を確認する

前残業や早出のルールは、意外と知らないまま働いていることも多いですよね。
「申請できる術式」「上限時間」「必要な手続き」を、一度きちんと確認しておきましょう。
「前にダメだと言われたから」と思い込んでいても、実は条件が変わっていることもあります。
対象になる日は、遠慮せず申請してくださいね。

前日にできる準備を済ませておく

手順の予習や、器械・材料の確認は、前日の勤務時間内にできることもあります。
翌日の手術の準備を少しでも前倒ししておくと、当日の朝がぐっと軽くなります。
新人さんやその術式が初めての人は、先輩に「前日に確認しておくといいこと」を聞いておくのもおすすめです。

「前日に準備する時間なんてないよ!」って思いますよね。
私もそうでした…。
全部じゃなくても、できそうなものから試してみてください。

チーム・職場で検討できること

早出シフトを作る

前残業ではなく勤務時間ごとずらす方法。
今回いちばん多かった運用です。
日本看護協会の冊子(看護職の「多様で柔軟な働き方」導入応援ブック)でも、広島大学病院が部署ごとに始業時刻を前倒しできるようにし、前残業をなくした事例が紹介されています。

対象術式をスタッフで決める

「該当術式はスタッフで決めた」という職場もありました。
どの手術なら申請できるのか、基準がはっきりしていると申請しやすくなりますよね。
実際に準備をしているスタッフが話し合うことで、現場の感覚に合った基準になりやすいと思います。
「この術式は何分くらい必要か」を、記録をもとに話し合えるとスムーズです。

夜勤帯の器械展開を検討する

前残業そのものを減らす方法です。
回答の中にも、夜勤が器械を開けてくれるようになって、前残業が大幅に減ったという声がありました。
ただ、展開してから手術が始まるまでの時間が長くなるので、感染対策のルールと合わせて話し合いが必要です。

夜勤の業務量とのバランスも、一緒に考えておきたいところですね。

労働組合や委員会に相談する

組合の交渉で取れるようになった、という声もありました。
前残業のことは、個人ではなかなか言い出しにくいですよね。
そんなとき、組合は職場全体の問題として話を届けてくれる窓口になります。
職場に組合がある場合は、まずは相談してみるのもひとつの方法です。

どの方法が合うかは、病院の規模や人員、手術件数によって変わると思います。
できそうなところから、職場で話題にしてみてくださいね。

おわりに

前残業を「申請できない」職場は約6割。
取れている職場の多くは、早出シフトや術式限定など、ルールをはっきり決めていました。

朝の準備は、安全な手術のために欠かせない時間です。
「みんなやっているから」で終わらせず、まずは自分の職場のルールを確認するところから始めてみてくださいね。

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