MENU
しゅがー
手術室看護師
准看護師3年(療養病棟)
正看護師6年(手術室)

【資格】
・正看護師
・YMAA認証マーク取得
・KTAA認証マーク取得

【Instagram】
🌸メディカ出版│月刊誌「オペナーシング」にエッセイ連載
🌸メディカ出版│学び方を学ぶ、選択肢を増やす「メディカLIBRARY」にエッセイ連載
🌸クラシコ株式会社│看護師の毎日を応援するライフスタイルメディア「NURSE LIFE MIX」NLMメイトとして記事連載中

手術室の体内遺残対策!ベンシーツってカウント対象?【オペ看の声】

突然ですが、みなさんの手術室では、ベンシーツをカウントしていますか?
私はこれまで「カウントするのが当たり前」だと思っていました。
でも先日、Instagramのフォロワーさんから「カウントしていない病院もあるのでは?」というDMをいただきました
言われてみれば、ベンシーツはガーゼと違って小さいし、術中は執刀医の手元で使われることがほとんど。
器械出し看護師の手を離れている時間も長いので、施設によって管理方法が分かれていてもおかしくありません。

そこで、Instagramのストーリーズでアンケートを取ってみたところ…約1,600人の方が回答してくださり、結果は想像以上に分かれていました。
さらに、「うちではこうやって管理しています」というコメントもたくさん寄せられ、施設ごとの運用の違いがリアルに見えてきました。

この記事では、アンケート結果と、実際に寄せられたカウント方法・体内遺残の防止策を紹介します。
「うちのルール、他の病院と違う?」と気になったことがある方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

この記事は、筆者のInstagramのストーリーズに設置した質問BOXを通じて、フォロワーさんから寄せられたリアルな声やDMのコメントをもとに作成しています。実際の現場での工夫や体験談をご紹介していますが、あくまで一例であり、情報によって生じた不利益・損害等については一切の責任を負いかねますので、予めご了承ください。

この記事を書いた人
しゅがー
もくじ

ベンシーツとは

ベンシーツは、脳神経外科の手術で使われる脳組織の保護用パッドです。
正式には「滅菌ベンシーツX(XR/XD)」といい、サイズ違いで複数展開されています。
用途は、神経組織の保護・液の吸収・止血の3つ。
開頭手術では、むき出しになった繊細な脳組織を器具や吸引から守るために欠かせないアイテムです。

滅菌ベンシーツX(XR/XD)

添付文書には「脳組織の保護以外には使用しないでください」と明記されている。

なお、ベンシーツシリーズの他にも「ノンスティーナX」「デリコットマイクロシート」など類似製品があり、施設によって採用している製品や呼び方が異なることもあります。

ベンシーツの体内遺残は実際に起きている

手術中に体内に置き忘れられてしまう物品というと、ガーゼをイメージする方が多いかもしれません。
でも実は、ベンシーツのような小さなパッド類も、体内遺残のリスクがあります。

医療事故情報収集等事業の第15回報告書(2008年7月〜9月)には、こんな事例が報告されています。

X線画像上、頭蓋内にベンシーツの遺残はないと判断し、閉創。
術後、頭部X線CTを撮影したところ、2枚のベンシーツと思われる所見を認めた。

つまり、術中のX線画像で「遺残なし」と判断していても、実際には残っていたケースがあるということです。
ベンシーツにはX線非透過の線が入っている製品もありますが、画像の見え方や撮影角度によっては、判断が難しい場合もあります。

推奨X線撮影条件:70-78kV, 10-32mAs, グリッド+。
但し、頭部の外にある X線造影糸は確認できません。
引用:滅菌ベンシーツ®X(D)添付文書

「見えているから大丈夫」という思い込みが、遺残につながるリスクをはらんでいる。
この事例は、そのことを教えてくれます。

アンケート結果「カウントしない」が30%

メッセージを受けて、Instagramのストーリーズでさっそくアンケートを実施。
結果は以下の通りでした。

  • カウント対象:1,118票(70%)
  • カウントしない:484票(30%)

「カウントするのが当たり前」だと思っていた私にとって、これは新しい発見でした。
3割の施設が別のやり方で体内遺残を防いでいるということは、それだけ工夫の余地があるということかもしれません。
コメント欄には「カウントしない場合の管理方法」について具体的な回答がたくさん寄せられていたので、詳しく紹介していきます。

みんなのカウント方法

まずは、「カウントしている」施設のみなさんから寄せられた、具体的な方法を紹介します。

術野からベンシーツの紐だけ取れて返って来たことあるので、必ずカウントした方がいいと思います!

紐だけ…
パットを探しだすの大変ですよね。

糸は切らない、術野から返ってきたベンシーツは広げて台紙に戻し外回りとダブルチェック。

脳ぼんやボウルのふちに並べていってました!

閉頭時に必ず、外回り看護師とダブルチェックをしています。

以前はカウントしませんでした。
Drが責任を持つからと。
しかし上が変わり、現在は→レントゲンに映るベンシーツに変更して、カウントするようにしています。
カウントが不一致ならレントゲンとります!

10ずつ切込みを入れた台紙に糸ごとかけておき、カウントします。

使用したベンシーツは、捨てずに器械台で保管して、閉創前に揃っているか数を確認します!

最後に枚数数える

清潔野にベンシーツカウンターを設けて、カウントしてます!

カウントとレントゲンで写るの使っています

10枚ごとにカウントして、外回りに渡してました。
手術終了までは捨てずに、保管してました。
閉頭までにカウントしてました!

INOUTはその都度外回りと共有して各部屋にINOUTを書くホワイトボードを設置して書いてます

医師に器械台に戻してもらうようにしてます。
(捨てる場合は声かけてもらう)それを元々の台紙に10ずつ切込みを入れた台紙に糸ごとかけておき、カウントします。

カウントします。
硬膜閉鎖前に医師に協力を求めて、硬膜外に敷いてるもの以外は全て回収します。

IN/OUTは逐一報告しないかわりに、硬膜閉鎖前にDrに全て返却してもらいカウントを行います!

各サイズのノンスティーナのみ使用。
器械出しと外回りでダブルチェックして閉頭しています。

硬膜閉鎖、骨片を戻すタイミングでカウント。
合わなければ、医師に手を止めてもらい捜索してます

ガーゼカウントのタイミングでベンシーツも一緒にカウントし、閉創時にダブルチェックもしてます。

レントゲン不透過の糸付き使用。
ガーゼと同じようにダブルチェックでカウント

私がいたオペ室では、IN/OUTを報告していました。

みんなの体内遺残防止策

続いて、カウント以外の方法で遺残を防いでいる施設のみなさんの声を、テーマ別に紹介します。

「カウントなしで目視だけ」というところもありました。

医師の目視確認のみで閉頭です

何もしていません。
目視だけ…。

硬膜閉鎖前、骨入れ前に先生に確認と看護師が目視で残っていない事を確認しています!
まぁ正直不安…。

マイクロ用のベンシーツが紛失することがあるので、カウント方法知りたいです。

みなさんの回答を紹介していきます

カウントの有無は診療科・術式による

脳外科ではカウント対象。
耳鼻科ではカウント対象外。
脳外科より耳鼻科の方が信用できないため、目を光らせてます。
耳鼻科では、鼓室形成などより小さいものが必要になるためしょうがないのかなと思いますが、監視しています

① 術式で分けていて、開頭手術はたくさん使用するのでカウントしません!
② 執刀医が術野から出したあとにドレープのポケットに捨てています!
顕微鏡や外視鏡で見ているので遺残は起きてないです

脳外ではカウントなし。
硬膜閉じる前に執刀医に残存ありませんか?と聞きます。
脳外科がする脊椎の際は残存があったことがありました。
なのでカウントします。

眼科でベンシーツを使う時はカウントしてないです!

マイクロが入るオペではカウントしない。
マイクロが入らないとカウントする。というルールです!

術式によってカウントする時としない時があります

脳外科は医師の責任でカウントなし。
その他診療科は糸ありはカウントなし。
糸切りはカウントあり

脳外は医師の責任のもとカウントをしないことになっています。
耳鼻科はカウントをします。

脊椎系で使う時はカウントしてて、脳外科ではカウントしていないです

脊椎で使う際はちゃんとカウントしてますが、脳外科の場合はなぜかカウントしてないです…

脳外はカウントしないが、整形はカウントする!

留置したい時のみレ線入りベンシーツを出してカウントします。
それ以外のベンシーツは普通に廃棄

カウント有無の理由が気になっちゃう…!

カウントせず、医者管理

以前はカウントしてたけど先生の方からムリ!!ってなってやってません!床やドレープにポイポイ捨てるので顕微鏡みながら戻すのはムリですよねー。

以前はカウントしていましたが、医師からも顕微鏡で遺残無いことを確認するからカウントしなくて良いとなり、最後に医師に遺残無いことを確認するとなりました。

医師がそのまま捨ててましたねー。

Drが責任を持って遺残がないか確認し、返却されたベンシーツはNsがゴミ箱に捨てます!

うちの病院は脳外ドクターの責任になってます、、

ドクターが全て捨ててしまうため、数える方法がないですよね…

医師が目視で確認、糸がついているので遺残はしないと言うことで、、、

執刀医がドレープのポケットに入れたり器械台に返したりしてます!
看護師で管理してないです

捨てられちゃうとカウントできないですね…。

糸は切らないで管理する

糸は切らない。
術野では膿盆を裏返し、貼り付けて管理。
かえってた5枚ずつ台紙にのせて外Nsに。

紐を絶対に身体の中に入れない事を条件にカウントしてません。
Drはカウントして欲しくない派故

黒い糸を切らない!

糸は絶対に切らない、硬膜を閉じる前に医師に声かけを行います。
今まで一度も遺残はないです。

紐は絶対に切らない約束をしています

長めに糸を切っている

ベンシーツを切らないでそのまま使用する決まりになっています。

紐は絶対に切らない約束をしてます

ついてる糸は長めにしたまま使用し、脳内に入り込まないようにしている。

糸が命綱ですね…!

術後XPで確認・顕微鏡下でチェック

ベンシーツにはX線非透過の線があるので術後レントゲンでチェック。

硬膜閉鎖前に、顕微鏡下で残ってないか確認しています。

どちらも、カウントという「数」の管理ではなく、「実際に見えているか」を確認する方法です。
ただし、先ほど紹介した体内遺残の事例のように、術中のX線判断だけでは見逃されるケースもあるため、画像確認・顕微鏡確認・カウントのいずれか一つに頼るのではなく、組み合わせて運用している施設が多い印象でした。

推奨X線撮影条件:70-78kV, 10-32mAs, グリッド+。
但し、頭部の外にある X線造影糸は確認できません。
引用:滅菌ベンシーツ®X(D)添付文書

手術看護業務基準では?

ここまで紹介してきたように、施設によってベンシーツのカウント方法や運用はさまざまでした。
では、そもそも日本手術看護学会はカウントについてどう定めているのでしょうか。
日本手術看護学会が策定している「手術看護業務基準」では、カウントの対象はガーゼ・器械・針など、遺残の可能性のあるすべての物品とされています。
つまり、本来はベンシーツのような小さなパッド類も、カウントの対象に含まれるべきものと考えられます。

こうした基準が定められている背景には、体内遺残が患者さんの再手術や後遺症につながりかねない、重大な医療事故だという事実があります。
先ほど紹介した事例のように、「小さいから」「画像で確認したから」といった油断が、遺残を防ぎきれない一因になることも少なくありません。

とはいえ、現場の状況は基準どおりにいかないことも多いはずです。
マイクロを使う手術では物品が細かくカウントしづらい、執刀医の判断に委ねる文化がある、など理由はさまざまでしょう。
大切なのは、「基準とのズレ」を責めることではなく、自施設のルールがどんな考えのもとに成り立っているかを知っておくことなのかもしれません

おわりに

今回のアンケートを通して感じたのは、「ベンシーツのカウント」ひとつとっても、施設ごとにこんなに文化が違うんだ、ということでした。

どちらのやり方が正解、というものではなく、それぞれの施設が試行錯誤しながら今のルールにたどり着いているはずです。
だからこそ、まずは自分の施設のルールがどんな考えで成り立っているのかを知っておくことが、遺残を防ぐ第一歩になるのかもしれません。

もし「うちではこうしてるよ」という運用があれば、ぜひ周りのスタッフとも話してみてください。
ルールの背景を知ることが、次の事故を防ぐヒントになるはずです。

ここからシェア
  • URLをコピーしました!
もくじ