妊娠がわかったとき、手術室看護師としてこれまで通り働けるのか、不安に思ったことはありませんか?
特に「透視(イメージ)を使うオペには入っていいの?」「放射線の影響は?」など、体への影響や職場の対応が気になる方も多いと思います。
今回Instagramで「妊娠中、オペ室でどんな働き方をしていましたか?」とアンケートをとったところ、さまざまな声が寄せられました。
透視を使う手術から外れるケースや、外回り中心の業務、外来や中材への異動など、働き方は本当に人それぞれ。
この記事では、リアルな体験談をもとに、妊娠中のオペ看の働き方について一緒に考えてみたいと思います。
この記事は、筆者のInstagramのストーリーズに設置した質問BOXを通じて、フォロワーさんから寄せられたリアルな声やDMのコメントをもとに作成しています。実際の現場での工夫や体験談をご紹介していますが、あくまで一例であり、情報によって生じた不利益・損害等については一切の責任を負いかねますので、予めご了承ください。

自著
総合医学社「オペ看ノート」
メディカ出版「メディカLIBRARY」
エッセイ:オペナースしゅがーの脳腫瘍日記
クラシコ株式会社「NURSE LIFE MIX」
NLMメイトとして記事連載中
記事:オペ看ラボ
漫画:しゅがーは手術室にはいられない
\フォロワー5万人/
Instagramはこちら
放射線透視装置を使う手術への対応
透視(放射線透視装置)とは?
手術中に使われる「透視(放射線透視装置)」とは、X線を使って体の中をリアルタイムで映し出す装置のこと。
「透視」「Cアーム」や「イメージ」と呼ばれ、骨の位置を確認しながら手術を行う整形外科のオペなどでよく使われます。
術中に何度もX線を照射することもあり、放射線に対する知識と対策が必要不可欠。
通常は防護エプロンなどでしっかり防護しますが、妊娠中のスタッフが扱う場合は、より慎重な対応が求められます。
妊娠したら手術室看護師の仕事はどうなる?
妊娠がわかったとき、「これからも手術室で働き続けられるのかな…?」と不安になる方も多いと思います。
特に小さな病院では人手も限られているため、どこまで業務を調整できるのか悩ましいところ。
今回は、「妊娠中もオペ室で働きたいけれど、どこまでできる?」という質問をきっかけに、Instagramでアンケートを実施しました。

妊娠したとき、オペ看ってどのように仕事するのか不安がありますよね。
みんながどんな風に仕事しているのか、アンケートをとってみたよ!





妊娠したら、透視を使うオペは外れるところが多いみたいですね。
妊娠していても放射線業務の従事は問題ない…?
妊娠がわかったあと、「透視のある手術に入っても大丈夫なのかな…?」と心配になる方も多いのではないでしょうか。
実際、私のInstagramアンケートでも「妊娠中も変わらず働いていた」という声が多く寄せられた一方で、「やっぱり不安」「可能なら外してほしい」といった声も少なくありませんでした。
医学的には、正しい防護と管理のもとであれば、妊娠中でも放射線業務は可能とされていますが、それでも不安を感じるのは自然なこと。
自分や赤ちゃんの健康を守るためにも、無理せず納得できる選択ができるといいですよね。



「いつも通り」も241票ありました。
でも、ちょっと不安な方もいますよね…。
こんな意見もあったので、シェアします!



カテ室兼務なので今まで基本的には放射線業務から外していましたが、最近ガイドラインを確認して防護の3原則の徹底と被曝量のモニタリングで妊娠していても放射線業務の従事は問題ない旨を周知しました。
あとは本人と相談の上で悪阻などの体調変化も考慮して業務に当たることにしています。
(icrp publication(国際放射線防護委員勧告)60と120参考に)
手術室での放射線被爆/特に気をつけるべきこと
日本麻酔科学会・周術期管理チーム委員会 編著,周術期管理チームテキスト第4版,日本麻酔科学会,2021,p113-114
1つ目は,生殖年齢にある女性医師や女性看護師,女性診療放射線技師である.生殖年齢にある女性の実効線量限度は3か月間で5mSv,妊娠期間中は腹部表面について2mSvと低く規定されている.これは,胎児については一般公衆の実効線量限度(1mSv/年)が適用されているためである.しかし,医学的に異常が起こる胎児の確定的影響の値線量は100〜120mGyである.これは胎児の被曝量であり,胎児がこの閾値線量を被曝するには母体腹部皮膚表面にこの閾値の数倍の線量が照射されなければならないので,通常の業務内で胎児が100~120mGyという閾値線量を超える被曝をすることはまずない.



それでも、気になる、心配だ、って方は多いと思う。
そんな時は、師長さんや部長さんに働き方のことを相談してみましょう!
理解が得られなかった方も…



私の時は、心臓の器械出しはしない(6時間以上の長丁場立ちっぱなので)、基本は外回りをやる(水分飲んだりできるのと、座れるから)でした。
透視下のオぺもつきたくなかったのですがお局の理解が得られず、プロテクター着てれば大丈夫だからと言われ何回かやったこともあります。
妊婦に厳しいオペ室でした😭



うーん…
理解がないとしんどいよね…



オペ室では透視使用のオペから外れ、外回りオンリーになりました。
カテ室勤務(透視室やER兼務)の時は最後までプロテクター着用でカテ室勤務してました。
なので、部署によると思います。
重いプロテクターはそれだけで切迫の要因になりそうだし…。
その時は迷惑かけたくなくて必死でしたが、正直しんどかったです。後悔のないように自分を守ってほしいです。



確かにプロテクターは重いし、しんどいですもんね…



透視のオぺ、長時間のオぺ、温度をめちゃくちゃ下げる科のオぺ(暑がりの先生が多い料)、匂いが特殊なオぺ(アンプタ、TUR系)、特株体位など負担がかかるオべは避けて基本手洗いはせす外回りです。
個人的に妊婦さんには無理して欲しくないので自分がリーダーの時は軽いオぺにつけてあげたいなと思うのですが、人によってはそんなの不公平だって文句言って妊婦さんにもガンガンオペ付ける先輩もいます…。
特に少ない人数で回してるオぺ室は大変ですよね。
私が今まで見てきた妊婦さんは病棟以上に肩身狭そうだなという印象なので、自部署の妊婦さんにはいつも以上に優しくしたいなと思ってます😌



人によっては匂いもしんどいんですね…。
電メスの匂いとか、大丈夫なのかな…。
妊娠中の働き方は、体調や気持ちだけでなく、職場の雰囲気や人間関係にも大きく左右されますよね。
だからこそ、お互いに思いやりを持って声をかけ合える関係って、とても大切だなと感じました。
今妊娠している方も、周りに妊婦さんがいる方も、ちょっとした気づかいや配慮で、お互いが安心して働ける環境になりますように…。
妊娠中の手術室看護師の働き方いろいろ
妊娠中も「できることなら今のまま働きたい」と思う一方で、「どこまでやっていいのか分からない」「周りにどう思われるか心配…」と悩むこともありますよね。
今回は、実際に妊娠中に手術室で働いた先輩オペ看さんたちから、どんな働き方をしていたか、どんな配慮があったかを教えていただきました。
透視を使う手術を外れたり、外来や中材業務にまわったり…。
さまざまなケースを紹介しますので、これから妊娠を考えている方や、妊娠中のスタッフがいる方の参考になればうれしいです。
透視を使うオペは担当を外れる



透視もですけど器械出しもやらせません!
外回りのみでいつでも座ったりできるように配慮してます🙆♀️
あとは重症症例もできる限り外してますね!



私も殆ど同じ、2部屋でナース4名の病院に勤めています。
妊娠がわかったら、本人が何と言おうと整形の透視が入るオぺには絶対つけません。
人工骨頭や抜釘などの外回りメインです。
透視のオぺ中は中材業務やらその他の業務をこなしてもらっています。
異動は代わりに異動してこれる人がいるならばいいと思いますが、殆どの病院はオぺ室はできない人の方が多いと思います。
現実的ではないかなーと思います。
この規模の病院だと、いる人間でこなすしかない!って感じですね…。



はじめまして!
最近育休から復帰しました。
復帰後もオペ室で働いています。
私の妊娠時は他にも妊婦さんがいましたが、透視の手術や腹臥位になる力仕事が必要な手術にはつかないように管理の方々が調整してくれていました。
そのため、妊婦でもとても働きやすかったです。
参考になれば幸いです。
小児のオペも担当を外れる



基本的に中材業務に回ることが多かったです🤔
器械のことにより一層知識を深められた気がします(笑)
あと、小児のOPも基本的に外されていました🙌
麻酔導入時セボを使用する頻度が多いためです。
セボが早期流産のリスクに繋がるみたいですが、麻酔科Dr.は「早期流産になるほどのエビデンスは確立していない」と話されていました💡



麻酔導入時の介助で曝露するリスクがあるかも…、ってことだよね。
エビデンスがあるのか、私も分からない…。
こちらも、心配な方は働き方のことを相談してみてくださいね。
9.5 妊婦
日本薬局方 セボフルラン添付文書
9.5.1 妊婦(3カ月以内)又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.5.2 産科麻酔に用いる場合には、観察を十分に行い慎重に投与すること。子宮筋を弛緩させる可能性がある。
外来などに手伝いに行く



私も6年前に娘を妊娠した時はオペ室でした。
師長に相談して、そこから院長へ話がいき、結果的には環境が変わる方が負担になるから部署はオペ室のままで、透視のないオペに入りました。
あと、中材も一体化しているオペ室だったので中材で使用していた妊婦に有害な薬液とかには絶対に近づくな…と言われ、6ヶ月くらいになった頃には手術書やマニュアルの改正に励んでいました(笑)
臨月間近には外来の方に手伝いに行っていました。
最近ですと、今産休中の人は臨月までバリバリ人エのオペに入ってました😂タフ!
看護師は切迫が多いので慎重になった方が良いのは間違いありませんね!
術前訪問や昼交代要員に配置



いつも楽しく拝見しています。
新卒からオぺ室配属で今年9年目です!
3回の妊娠を経験し、職場の皆さんにはとても助けていただきました😊
透視のオぺはもちろん外していただきましたが、その他にもつわりなどの体調によって外回り中心にしてもらったり、患者さんの移動の際は足元に行くように言われたり(重いものを持たないようにの配慮かと😭)。
長時間の手術が多い日はお昼の交代要員や、術前訪問担当に配置してもらったりと、かなり体調に配慮してもらいました😄
待機(オンコール)から外れる



当院は中材も兼務であったので、EOGの取り扱いからも外れてました💡
あとは、原則待機からも外れますが、お給料の兼ね合いもあるのでそこは要相談です🙂



お給料の兼ね合い!!これもかなり大事!!
しっかり相談したいですね!
重いものは持たないよう配慮



手術室勤務で今育休中、5ヶ月の娘を育てています。
妊娠がわかったら透視は外されました!!
患者の移乗や重いもの持ったりも変わってもらったりとかなり配慮して頂いていました😌
妊娠すると頻尿になるし、長時間の手洗いも外されましたね!!



整形のコンテナとかめちゃくちゃ重いものも沢山ありますしね…💦
外回り中心の業務



私は妊娠がわかった時点で師長へ相談し、レントゲンの出ない部屋の担当をさせてもらいました。
悪阻もわりときつい方で、ガウンを着ることで気分が悪くなり2回オペ中に倒れてしまいました。
その事もあって、外回りを中心にさせてもらう勤務にしてもらっていました。



体調や辛さは人それぞれ!
妊婦さんも、周りのスタッフも、お互い「ありがとう」の気持ちを忘れないようにしたいな😌
日帰り手術センターで手術前の受付&バイタル測定



8部屋、ナース30人の病院で働く9ヶ月妊婦です。
妊娠発覚直後から、透視を使うオぺから外れました!
また、長時間の手術も体力、ストレスの面を考慮してもらい外れてます。
短時間で終わる簡単な手術を担当したり、日帰り手術センターで手術前の受付&バイタル測定などをしてます。
おわりに
妊娠中の働き方は、本当に人それぞれ。
体調の変化や心配事はもちろん、職場の体制や人員状況によってもできること・できないことが変わってきますよね。
「みんなに迷惑をかけたくない…」と無理をしてしまう方もいるかもしれませんが、妊娠中は自分と赤ちゃんを守ることがいちばん大切。
不安や希望があるときは、遠慮せずに上司や仲間に相談してみてくださいね。
そして、まわりのスタッフも「お互いさま」の気持ちで。
ちょっとした配慮や優しい一言が、妊婦さんにとって大きな支えになると思います。
みんなで安心して働ける手術室を目指して、一緒に工夫していけたら嬉しいです。



妊娠中の体調変化は人それぞれ。
無理のないよう仕事を続けていけるといいですよね!