手術室で働き始めた頃のこと、少し思い出してみてください。
右も左も分からず、先輩の動きを追うだけで精一杯だったあの日。
そんな時にかけてもらった一言や、そっと差し伸べられた手が、どれほど心強かったでしょうか。
そして今、自分が教える立場になり、「どう接したらいいんだろう」「どこまでフォローすべき?」と悩む人も多いかもしれません。
誰もが最初は、教えることにも不安を感じるものです。
だからこそ、あの頃の自分が嬉しかったことを思い出すことが、後輩を支えるヒントになります。
今回は、手術室看護師たちに「新人の時に嬉しかった行動や声かけ」を聞きました。
明日のチームづくりやプリセプター業務の参考に、ぜひ読んでみてください。
この記事は、筆者のInstagramのストーリーズに設置した質問BOXを通じて、フォロワーさんから寄せられたリアルな声やDMのコメントをもとに作成しています。実際の現場での工夫や体験談をご紹介していますが、あくまで一例であり、情報によって生じた不利益・損害等については一切の責任を負いかねますので、予めご了承ください。

自著
総合医学社「オペ看ノート」
メディカ出版「メディカLIBRARY」
エッセイ:オペナースしゅがーの脳腫瘍日記
クラシコ株式会社「NURSE LIFE MIX」
NLMメイトとして記事連載中
記事:オペ看ラボ
漫画:しゅがーは手術室にはいられない
\フォロワー5万人/
Instagramはこちら
新人の時に嬉しかった!行動&声かけ

新人の頃は、毎日が緊張の連続。
失敗したくない、怒られたくないと肩に力が入りっぱなしで、帰るころにはぐったり…なんてこともありますよね。
そんな中、先輩や先生の一言やちょっとした行動に救われた経験はありませんか?
今回は手術室看護師たちが「新人の時に嬉しかった!」と感じた行動や声かけを集めました。
明日からのチームづくりや後輩指導のヒントに、ぜひ活用してください。
振り返りをしてくれる!
毎日の業務を一緒に振り返ってくれる先輩がいると、安心感がぐっと増して、成長のスピードも早まります。

仕事終わりにその日の振り返りにじっくり付き合ってくれたプリセプターさん!



前立ちをしてくれた先輩が1つ手術を終える度に評価をしてくれて改善点が分かりやすかったです。
プリセプターさんが神!



プリセプターにバレないように教えてくれる(フォローしてくれる)笑



廊下ですれ違うたびにプリセプターさんが声をかけてくれた!
(今日は何のオペついてるの?とか!)



新卒からオペ室で1カ月経ったときにプリさんがお疲れ様とお菓子をくれました!



どんな時も味方でいてくれるプリセプターさんの存在は、本当に心の支えになります。
フォローしてくれる!
失敗して落ち込みそうな時に、そっとフォローしてくれる先輩がいると本当に心強いです。



医者や看護師に怒られても擁護してくれたこと。



プリセプターは何があっても絶対に守ってくれたからまだ同じ職場で頑張れてる、現在8年目。



他の先輩に理不尽なことで怒られても「私はあなたがしたこと間違ってないと思う」と認めてくれる。
厳しいけど優しい!
叱る時はしっかり叱ってくれるけれど、終わったあとは普通に話しかけてくれる…そのギャップに救われます。



注意したり叱ってもその話が終わったら優しく話しかけてくれる。
(怒るのはそのことだけ。)



厳しい先輩がたまに見せる笑顔。



厳しく指導を受け、その指導されたことが出来た時「出来たじゃん!」って一緒に喜んでくれたこと。
優しい先生!



入ってすぐの時にドクターが「術式予定通りです。器械出しも良かったです」って言ってくれた。



ガンマネイル初めての器械出しの時Dr.が「共同作業で一緒に頑張りましょう」と言ってくれたこと。



先生から「分かってきたじゃん!」って言われたことです。



ドクターからのねぎらいや一言のほめ言葉は、新人にとって大きな自信になります。
些細なことが嬉しい!
「ありがとう」や「お疲れさま」などの一言でも、認めてもらえた気がしてとても嬉しくなります。



手伝いに行って戻った時にリーダーからありがとうや、お帰りーと、言われたこと。



お疲れさま。
先生と先輩の一言。



名前で呼んでくれる。
小さいことでも褒めてくれる、認めてくれる。
頼れる先輩!
「大丈夫!」と背中を押してくれる先輩がいると、挑戦する勇気が湧いてきます。



分からなかったら何回でも聞いて!
何回でも教えるから!



初器械出しで一緒に手洗いする先輩が
「大丈夫!大船に乗ったつもりで!任せて!」
と言ってくれた。



最初は出来なくて当たり前。
あなたがそこまでできると思ってない。
って大大大先輩に励まされた。
「嬉しかった言葉」から見える、新人さんが求めていること


アンケートで集まったエピソードを見てみると、新人さんが本当に求めているのは、特別な言葉や大げさなフォローではないことが分かります。
大事なのは、「自分を気にかけてもらえている」と感じられること。
たった一言の声かけでも、それが新人の安心ややる気につながっていました。
たとえば、「ゆっくりでいいよ」「次につなげよう」という言葉。
これは、できない自分を否定せず、成長の途中にいることを認めてくれるメッセージです。
新人にとっては「見放されていない」と感じられる瞬間なんですよね。
また、「ありがとう」「お疲れさま」といった言葉も多く挙がりました。
毎日緊張しながら働く中で、誰かに認めてもらえることが、次の日への原動力になります。
先輩や先生の一言には、それほど大きな力があるのです。
つまり新人さんが求めているのは、「完璧な指導」よりも「心の支え」。
その一言で、チームの雰囲気もぐっとあたたかくなります。
明日からできる!新人が喜ぶ一言・行動リスト
新人さんが嬉しいと感じるのは、特別なサプライズや立派な指導ではありません。
日常の中でのちょっとした言葉や行動が、心の支えになります。
明日からすぐに実践できる声かけやフォローを紹介します。
手術前「一緒に頑張ろうね」
緊張している新人さんには、共に頑張る姿勢を見せるのが一番の励まし。



「今日は私がついてるから大丈夫」など、一言添えるだけで安心感が生まれます。
ミスした時「次につなげよう」
新人さんは失敗を引きずりやすいもの。



「誰でも通る道だよ」「次はきっと大丈夫」と声をかけるだけで、前を向けます。
手術後「今日ここ、良かったよ」
「ここが成長してるね」と具体的に伝えると、自信とモチベーションが高まります。



気づきとして伝えるのがポイントです。
ちょっとした場面で「ありがとう」「助かったよ」
忙しい中でも感謝を伝える習慣は、チーム全体の雰囲気を明るくします。



小さな一言でも「見てくれている」と感じてもらえます。
仕事が終わったあと「お疲れさま」
新人にとって、1件のオペをやり遂げることは大きな経験。



その努力を認めてあげることで、次も頑張ろうという気持ちが湧いてきます。
こうした声かけは、どれも難しいことではありません。
でもその一言が、新人の不安をやわらげ、前向きな気持ちを育てるきっかけになります。
おわりに
新人の頃にかけてもらった言葉や、さりげないフォローは、時間がたっても心に残るものです。
その一言があったから頑張れた、続けてこられた、そんな経験をした人は少なくありません。
今度は、自分がその言葉をかける側になる番です。
忙しい手術室の中でも、ちょっとした声かけや気づかいが、後輩にとって大きな支えになります。
そして、それがチーム全体の雰囲気をやわらかくし、より働きやすい環境づくりにつながります。
あの日の自分が救われたように、明日のあなたの一言が、誰かの心をそっと支えるかもしれません。



















