手術室の振り返り、「基本的に振り返りの時間がある」と答えた人は44%でした。
きっかけは、いただいた1通のDMです。
中途採用でオペ室に入った看護師歴3年の方から、「プリセプターさんはいるけど、振り返りはしたことがない。他のオペ室では普通はあるもの?」という内容でした。
その日の手術でわからなかったことや、次に向けて確認しておきたいこと。
先輩と一緒に振り返る時間があると、心強いですよね。
そこでInstagramのストーリーズで、みなさんのオペ室の実態を聞いてみました。
投票は885票。
振り返りを受ける側だけでなく、指導する側からもたくさんの声が届きました。
この記事では、集まった声を受ける側・指導する側に分けて整理して、振り返りの時間をつくるためのヒントを考えます。
この記事は、筆者のInstagramのストーリーズに設置した質問BOXを通じて、フォロワーさんから寄せられたリアルな声やDMのコメントをもとに作成しています。実際の現場での工夫や体験談をご紹介していますが、あくまで一例であり、情報によって生じた不利益・損害等については一切の責任を負いかねますので、予めご了承ください。
「振り返りの時間がある」は44%!中途採用の振り返り事情

えっ…あるものだと思ってました。


基本的に振り返りの時間がある
44%
386票
自分からお願いする
42%
374票
基本的に振り返りの時間はない
14%
125票
「基本的に振り返りの時間がある」は44%。
半分には届きませんでした。
ほぼ同じくらい多かったのが「自分からお願いする」で42%。
「基本的に振り返りの時間はない」は14%でした。
「自分からお願いする」と「ない」を合わせると約56%。
半数以上の人は、自分から動かないと振り返りの機会がない、ということになります。



あるものだと思っていた分、この結果は意外でした…。
※質問は中途採用向けでしたが、新卒の方や病棟から異動してきた方からの回答も多く寄せられました。
振り返りを受ける側の声


まずは、振り返りを受ける側の声です。
いちばん多かったのは「時間がない」という声でした。
時間がなくて、振り返りまで手が回らない



基本的にはありますが、なかなか時間が取れないです。
復習して、分からないところは聞くスタイルです。



本当に最初だけで、あとは忙しくなって無くなりました!
最初もすこぶるサラッと終わってました!



外来兼オペなので、準備も振り返りもする間がないです。
マニュアルもそこまでなく、うろ覚えで個々でやってます。
他の回答を見る(2件)



忙しいと結局時間外になって、自己学習になりがちですね…。



新卒オペ看ですが、時間がなくて振り返りできてないです…。



「振り返りはしたいけど、その時間がない」という職場が多い印象です。
最初はあっても、だんだんなくなっていくパターンもあるようですね。
自分から言わないと、スルーされる



こちらから言わないと、そのままスルーされます。



ないですね!
自分から言ったら、ちょっとしてくれる人もいますけど、基本ないですね。



とっても忙しいため、振り返りしたい側が自分から時間をつくりにいかないとないです。



当日のオペのことを質問しても、自分で勉強して振り返ってと言われます。
一方で、「自分からお願いするべき」という声もありました。



新人、中途関係なく必要。
先輩からしてくれるかは人によるかも。
自分から率先してお願いするべき。



してくれなかったとしても、自分からお願いするべき。



アンケートでも「自分からお願いする」が42%でした。
待っているだけでは、なかなか機会がないのが現実のようです。
中途・異動組は「わかってるよね?」で済まされがち



中途採用ではないですが、手術室以外の部署から異動してきた組に振り返る時間が無い!



施設によってやり方が違うことの方が多いのに、「わかってるよね?大丈夫だね!」で済まされてしまう。



4月に中途採用で初のオペ室です。
指導者の性格がキツく、振り返りの時間は設けてもらえません。



術式の振り返りは少なめで、何を出すとか、全体的な院内のお作法的なことが多かったです。



経験年数があると、「わかっているはず」と思われやすいんですよね。
でも、器械の名前や物品の場所、準備の流れは施設ごとにかなり違います。
中途の方ほど、確認したいことは多いのかもしれません。
しっかり振り返りがある職場も



新卒オペ看です!
自立してオペができるまでは、バックについてる先輩と毎回振り返りしてます!



うちの病院は何年目だろうと、基本はプリセプターがつきますし、振り返りの時間も毎日必ずあります。



病棟から異動してきて、現在オペ室2年目です!
病棟では考えられないくらい振り返りしてくれます!



「何年目でもプリセプターがつく」という職場もあるんですね。
振り返りがあるかどうかは、病院によってかなり差がありそうです。
指導する側の声


続いて、指導する側の声です。
「振り返りをしたくない」という声は、ほとんどありませんでした。
悩みは、時間・やり方・伝え方にあるようです。
時間をつくりたいけど、何をすればいいかわからない…



指導者側ですが、振り返り、正直何すればいいか…。



振り返りの時間を作りたい気持ちはあるのですが、現状難しいです。



「振り返り」と一言でいっても、決まったやり方があるわけではないですよね。
新人さんから言ってこない



最近の子は、自分から振り返り言ってこないことが多いので…指導者のこちらから声をかけてます。



私は8年目ですが、2年目の子が自ら振り返りをお願いしているところを見たことないです。
受ける側は「言わないとスルーされる」、指導する側は「言ってこない」。
お互いに、相手から来るのを待っている状態なのかもしれません。



私も新人のころは、忙しそうな先輩に「振り返りお願いします」とはなかなか言えませんでした…。
言い方ひとつで「パワハラ」「逆ギレ」に



振り返りを新人としてたら、パワハラって言われました。



逆に言い過ぎても、逆ギレする人とかプライド高い人もいるし。
伝え方に気をつかうほど、振り返り自体がしにくくなってしまいますよね。
特に中途の方は経験年数がある分、どこまで言っていいのか迷うという指導者さんも多そうです。



伝え方って、本当に難しいですよね。
時間を決めて続けている人も



午後にしっかり時間とってやるようにしています。



振り返りの時間をとるには、オペの振り分けが大事ですよね。
たとえば、新人さんとプリセプターさんを早めに終わりそうな部屋に一緒に入れるなど、振り分けの段階で時間をつくれると続けやすそうです。
とはいえ、そもそもスタッフが足りないと、その余裕もなかなか生まれないし…。
個人の頑張りだけではどうにもならない部分もあって、難しいところですね。
すれ違いの正体は「お互い待っている」こと


ここまでの声を並べてみると、ある共通点が見えてきました。



そもそも、概念がないのかな?と…。
上の人も聞いてこないからって言ってますが、どっちもどっち。
受ける側も指導する側も、「振り返りは大事」と思っていることは同じです。
それなのに時間がつくれないのは、お互いに相手から声がかかるのを待っているからかもしれません。
受ける側と指導する側、それぞれの気持ち
受ける側
- 忙しそうで声をかけにくい
- 何を聞けばいいかわからない
- 「わかってるよね?」と言われると聞けない
- 言わないとスルーされる
待っている
指導する側
- 時間がなくて、こちらからは誘いにくい
- 何を振り返ればいいかわからない
- 経験者だから大丈夫だと思っている
- 言ってこないから、必要ないのかなと思う



こうして並べてみると、どちらも「相手が忙しそう」「どうしたらいいかわからない」と感じているんですよね。
どちらかが悪いというより、きっかけがないまま時間が過ぎてしまっている印象です。
最初のひと声をどちらからかけるか、それだけで変わることもあるのかなと思います。
【受ける側】振り返りをお願いするコツ
アンケートでは、「自分からお願いする」が42%でした。
とはいえ、忙しそうな先輩に声をかけるのは勇気がいりますよね。
ここでは、お願いしやすくなるコツをまとめました。
「5分だけ」と時間を区切る
「振り返りお願いします」だけだと、「どれくらいかかるんだろう…」と構えてしまいがちです。
特にオペが続いている日は、まとまった時間をとるのはなかなか難しいですよね。
「5分だけ質問いいですか?」と時間を区切ると、相手も引き受けやすくなります。
終わりが見えていると、忙しい日でも「それくらいなら」と思ってもらいやすいからです。
もし先輩に余裕があれば、そこから話が広がることもあります。
まずは短い時間から、声をかけるきっかけをつくってみてください。



「5分」と伝えておくと、先輩も次の予定を気にせず話せるので、聞く側も気がラクになると思います。
聞きたいことを1〜2個に絞っておく
振り返りの時間をもらっても、何を聞くか決まっていないとあっという間に終わってしまいます。
オペ中に「あとで聞きたい」と思ったことを、メモしておくのがおすすめです。



器械出しの場合は、皮膚ペンを準備していました。
質問が具体的だと、先輩も答えやすいですよね。
声をかけるタイミングを選ぶ
オペの直後や、次の準備でバタバタしているときは先輩も余裕がありません。
片付けが終わったあとや、オペが少ない午後など、少し落ち着いたタイミングを選ぶと声をかけやすいです。



「今日どこかで5分ください」と、朝のうちに伝えておくのもひとつですね。
先輩もその日の予定に入れやすくなります。
中途採用の方は「前の病院ではこうでした」と伝える
経験がある分、「わかってるよね?」で済まされやすいのが中途採用の方です。
「前の病院ではこうしていたのですが、ここではどうですか?」と聞くと、施設ごとの違いを確認しやすくなります。



器械の名前や物品の場所や呼び方、準備の流れは、病院によって本当にバラバラですよね。
「知らない」ではなく「前と違う」を伝える聞き方だと、気持ちの面でも聞きやすいと思います。
【指導する側】短時間でできる振り返りの型
指導する側からは、「何をすればいいかわからない」という声がありました。
振り返りに決まった形はありませんが、型があると短い時間でも進めやすくなります。
振り返りは、長く話せばいいというものではありません。
次の3つを聞くだけでも、十分な振り返りになります。
振り返りで聞きたい3つのこと
STEP1できたこと
今日、うまくできたことは?
STEP2困ったこと
困ったこと、わからなかったことは?
STEP3次にやること
次の同じ術式までに、確認しておくことは?
「うまくできたこと」から始めると、新人さんも話しやすくなると思います。
最後に「次までに確認すること」を決めておくと、振り返りが次のオペにつながります。



毎回同じ質問にしておくと、新人さんも答えを準備してきてくれるようになるかもしれません。
本人の振り返りから先に聞く
先輩から先に「ここがダメだった」と伝えると、新人さんは責められているように感じてしまうことがあります。
まずは「今日どうだった?」と、本人の感じたことから聞いてみましょう。
本人が気づいていることは、あらためて指摘しなくても大丈夫です。
気づいていない部分だけを、補うように伝えると受け取ってもらいやすくなります。



「パワハラって言われた」という声もありましたよね…。
伝える内容は同じでも、順番を変えるだけで受け取り方が変わることもあると思います。
中途採用の方には「前の病院ではどうだった?」と聞く
中途採用の方は、経験がある分「わかっているはず」と思われやすいです。
でも、器械の名前や物品の場所、準備の流れは病院ごとに違います。
「前の病院ではどうしていた?」と聞くと、何が同じで何が違うのかを一緒に確認できます。
相手の経験を尊重しながら、施設のルールも伝えやすくなります。



「わかってるよね?」より、「前はどうだった?」のほうが、相手も答えやすいですよね。
経験者だからこそ、聞きにくいこともあるのかなと思います。
新人さんが年上で気まずいときは…
中途採用や異動の場合、新人さんのほうが年上だったり、看護師歴が長かったりすることもあります。
「年上の方に、自分が教えていいのかな…」と、気まずく感じる方も多いのではないでしょうか。
そんなときは、「教える」より「一緒に確認する」と考えると、少し気持ちがラクになります。
「うちのオペ室では、こうしていることが多いです」
「〇〇さんの前の病院では、どうしていましたか?」
「私もまだ勉強中なので、一緒に確認させてください」
「正解を教える」ではなく、「このオペ室のやり方を共有する」という伝え方にすると、相手も受け取りやすくなります。
新人さんも、「早くこの病院のやり方を覚えたい」と思っているはずです。
年上だからと遠慮するより、はっきり伝えてもらえるほうが相手にとっても助かるのではないでしょうか。
ただし、伝えるときは言い方も大事です。
「なんでできないんですか?」ではなく「ここではこうしています」と伝えるだけで、受け取る側の気持ちはずいぶん変わります。
相手の経験に敬意を持ちながら伝えると、年上の新人さんとも話しやすくなりますよ。



年上の方に指導するのって、本当に気をつかいますよね…。
でも、新人さんの側も「年下の先輩に聞きにくい」と感じているかもしれません。
お互いに遠慮していると、振り返りの時間がどんどん遠のいてしまいます。
敬意は持ちつつ、「ここのやり方はこうです」と淡々と伝えるくらいが、ちょうどいいのかもしれません。
振り返りを一人で抱え込まない
回答の中には、こんな声もありました。



理解してる先輩との振り返りは次に活かせるけど、理解不十分な先輩との振り返りは無意味。
厳しい意見ですが、指導する側も、すべての術式に詳しいわけではありませんよね。
わからないことは「一緒に調べよう」「〇〇さんに聞いてみよう」と、ほかのスタッフを頼ってもいいかもしれません。



指導する側も、完璧じゃなくていいと思います。
一緒に確認する姿を見せることも、新人さんにとっては学びになりますよね。
振り返りの時間がまったくないときは


ここまでコツを紹介してきましたが、そもそも振り返りの時間がとれない職場もありますよね。



振り返りしていきたいけど、オペが詰まりすぎて時間がない。
残業してまで振り返りしますか?
オペが詰まっている日に、無理に振り返りの時間をつくるのは難しいものです。
そんなときにできることを、いくつか紹介します。
わからなかったことをメモしておく
その日のうちに振り返りができなくても、「あとで聞きたいこと」をメモしておくだけで十分です。
オペ中に気になったことは、時間がたつと忘れてしまいがちですよね。
メモがたまってきたら、オペが少ない日や、時間に余裕がある日にまとめて聞いてみましょう。



ポケットに入る小さなメモ帳があると便利ですよね。
次に同じオペにつくときの予習にも使えます。
残業してまでやるかは、職場で話し合いたい
「振り返りは大事だけど、残業になってしまう…」という悩みもありました。
振り返りを個人の頑張りだけで続けるのは、なかなか難しいものです。
オペの振り分けを工夫したり、振り返りの時間を勤務の中に組み込んだりと、職場全体で考えたいところですね。
今回のアンケートでは、「毎日必ずある」という職場もあれば、「自分から言わないとない」という職場もありました。
振り返りがないのは、あなたのやる気が足りないからではありません。
施設によって、教育の体制や忙しさが大きく違うだけなんですよね。



「うちだけじゃなかったんだ」と、少しでもホッとしてもらえたらうれしいです。
できるところから、ひとつずつ試してみてくださいね。
おわりに
手術室の振り返り、「基本的に振り返りの時間がある」と答えた人は44%でした。
「自分からお願いする」と「ない」を合わせると約56%。
半数以上の人は、待っているだけでは振り返りの機会がないようです…。
受ける側は「忙しそうで声をかけにくい」。
指導する側は「何をすればいいかわからない」「言ってこない」。
どちらも振り返りを大事だと思っているのに、お互いに相手を待っているうちに、時間が過ぎてしまっているのかもしれません。
「5分だけいいですか?」のひと声や、3つの質問だけの短い振り返り。
小さなことからでも、きっかけになればうれしいです。
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